あなおそろしや厩舎コメント
「今まで扱った中で最高の馬」
30年のキャリアをもつ中村師はサダムイダテンをそう評した。日頃慎重な師らしからぬ超強気な発言はそれだけではない。中にはディープインパクトと比較するものまであった。デビュー以来手綱を取り続ける安藤勝も、その素質を絶賛する。
かくして完全な「一強」ムードが出来上がったわけだが、前記のコメントに接したとき、萬馬はごく自然にある行動をとった。中村師のこれまでの管理馬を調べてみたのだ。
そしたらなんと、G1勝ち馬はトウカイローマン(オークス)、マイネルマックス(朝日杯3歳S)、マイネルセレクト(JBCスプリント)の3頭だけ。お世辞にも超大物と呼べる馬を管理した実績はない。
誤解のないように言っておくと、中村師は現役15位の通算528勝をあげている優秀な調教師だ。重賞だって28勝もしている。ただこれまでのところ競馬史に残るような名馬を手がけたことがないだけで、そういう調教師はほかにいくらでもいる。
興味深いのは、そんな師の「今まで扱った中で最高の馬」というコメントが一人歩きしてしまったことだ。さすがに現場の記者たちはファンよりも冷静だったようで、各紙の印は一本被りというほどではなかったが、最終的な単勝オッズが150円だったように、ファンの支持は絶大だった。
これが騎手の発言だったら、もっと冷静に受け止められたのではないか。中村師に相当する騎手をあげるのは難しいが、仮に、熊沢、江田照あたりが「これまで乗った中で最高の馬」と言ったとしたら、「ちょっと待てよ」と思うファンは少なくないだろう。
うまやのコメントというものは、ほぼすべてが陣営内で完結した主観的、絶対的なものだ。「ガラリ一変した」「完全に本格化した」「生涯最高のデキ」「90%仕上がった」「○○より走る」「○○に似ている」…。
それらを客観的、相対的に受け止めることの難しさを、サダムイダテンの5着敗退はあらためて教えてくれたように思う。

Comments
はじめまして。
たいへん分かりやすい記事でした。
今までの管理馬を拾われるところなど、馬券勝者ならではの
目のつけどころだと思いました。これから楽しみに読ませてもらいます。
Posted by: たらふく | 04/03/2008 at 10:31 AM