いざ狙え人気薄の武豊
去る3月14日、阪神6レースで珍事が起きた。武豊が11番人気で勝ったのだ。通算騎乗回数16,062回の同騎手が二桁人気馬に騎乗したのは、これが288回目。その成績は「8-7-16-16-15-226」で、勝率2.8%、連対率5.2%、複勝率10.8%、掲示板率21.5%、単勝回収率69%、複勝回収率86%。騎乗回数の少なさもさることながら、5回に1回は掲示板に載っていることや、複勝回収率が9割近くに達していることも、驚きである。まさにナンバーワンジョッキーならではの数字と言えるだろう。
二桁人気での全8勝は以下のとおり。
88年6月18日
中京8R 4歳以上400万下
ロジータバンブー 10番人気 単勝3,020円
88年10月22日
京都11R 3歳以上OP カシオペアS
シヨノリーガル 10番人気 単勝2,310円
91年7月14日
小倉3R 3歳未勝利
サンライズウイナー 11番人気 単勝2,330円
93年7月10日
京都9R 3歳500万下 すいれん賞
リワードプランダー 10番人気 単勝2,030円
93年11月7日
京都8R 3歳以上900万下 天王寺特別
スズタカクイーン 10番人気 単勝2,360円
09年3月21日
中京7R 4歳以上500万下
スーパーガブリン 10番人気 単勝1,710円
09年10月3日
阪神2R 2歳未勝利
タニノエポレット 10番人気 単勝3,500円
10年3月14日
阪神6R 3歳500万下
ケイアイブリザード 11番人気 単勝2,800円
最初の5回が20代前半に集中しているのは当然として、あとの3回が昨年以降というのは興味深い。よくよく見てみると昨年は、20代後半以降まれになっていた二桁人気馬の騎乗数自体が激増している。それは人気馬の騎乗回数が減っていることの裏返しにほかならない。武豊一極集中時代の終焉は、こんなところからも読み取れよう。
それでも、重賞で二桁人気馬に騎乗する機会は今後もそうはあるまい。全288回の二桁人気馬騎乗のうち、重賞は27回。馬券になったのは、96年の鳴尾記念(ハギノリアルキング10番人気2着)と92年の安田記念(ムービースター10番人気3着)の2回だけ。武豊が二桁人気で重賞を勝つ場面は、今なお想像するのが難しい。
いずれ武豊も安藤勝やかつての岡部のように、騎乗回数を有力馬に絞り込んでいくだろう。今はまだその前段階。力はさほど衰えていないのに騎乗馬に恵まれなくなっている。となれば今こそ武豊は、キャリアを通じて最も配当妙味のある時代を迎えているのではなかろうか。
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