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01/21/2011

巨艦静かに潜行す

アラブ首長国連邦、通称UAEは7つの首長国からなる連邦国家。その首長国のひとつドバイ首長国の首長にしてアラブ首長国連邦の副大統領でもあるのが、ムハンマド・ビン=ラーシド・アール=マクトゥーム。いわゆるシェイク・モハメドだ。ちなみに「シェイク」とは、英語の His Highness、日本語の「殿下」に当たるため、「シェイク・モハメド殿下」は重ね言葉。「殿下」をつけるなら「モハメド殿下」だけでいい。
すったもんだの末にJRAが「日本国外居住者の馬主登録」を認めたのは2009年。早速その年のうちにモハメドファミリーは馬主登録を行なった。モハメド殿下その人とハヤ王妃、そしてハムダン皇太子の御三方。登録名はそれぞれ「H.H.シェイク・モハメド」「H.R.H.プリンセス・ハヤ」「H.H.シェイク・ハムダン」。かくして2010年は、日本国外居住馬主(要はガイジン馬主)のJRA所属馬がターフに繰り出す記念すべき年になったわけである。
現在、モハメドファミリーのJRA登録済所有馬は3人合わせて35頭。勝ち星をあげているのは、まだ以下の6頭だけだ。

H.H.シェイク・モハメド所有馬
ノトーリアス(牡4歳)
父ワイルドラッシュ 母父ウッドマン
1-0-0-6 収得賞金400万円
デビュー第1号

ルナーレガシー(牡4歳)
父ムーンバラッド 母父キングズベスト
1-0-0-3 収得賞金400万円
ファミリー初勝利馬 近親にフリオーソ 

デボネア(牡3歳)
父アグネスタキオン 母父シングスピール
1-1-2-1 収得賞金1200万円
母がムーンバラッドの全妹

H.H.シェイク・ハムダン所有馬
サンデーミューズ(牝4歳)
父アルカセット 母父サンデーサイレンス
3-0-1-1 収得賞金1500万円
祖母がシンコウラブリイの全妹

クーデワンダー(セン馬4歳)
父グラスワンダー 母父マキャベリアン
1-0-0-5 収得賞金400万円
マイネルスケルツィの全弟

H.R.H.プリンセス・ハヤ所有馬
ウエストエンド(牡3歳)
父 Pivotal 母父サンデーサイレンス
1-0-0-5 収得賞金400万円
母がアラジの半妹

先週はモハメド殿下所有のデボネアが京成杯でハナ差2着。重賞初制覇を惜しくも逃した。しかし賞金は加算して、めでたく3歳オープン馬に。今後はクラシックの権利獲得を目指すことになる。
古馬のオープン馬はいないが、出世頭ということになると、ハムダン殿下が所有する1600万条件の4歳牝馬、サンデーミューズになるだろう。デビューは昨年の春競馬最終日と遅かったものの、2戦目で勝ち上がるとその後はとんとん拍子。武豊で500万条件と1000万条件を連勝したところでリフレッシュ放牧に出た。すばらしい決め手を持っており、血統的にもスケール大。復帰すれば重賞戦線に顔を出すのも時間の問題だろう。

ダーレー・ジャパンの設立が「文永の役」なら、モハメドファミリーの馬主登録は「弘安の役」。しかしどちらも今のところは「侵攻」というより「進出」のレベルにとどまっており、守旧派のホースマンたちは胸を撫で下ろしていることだろう。うがった見方をすれば、これもダーレーのシナリオどおりなのかもしれないが、「ソフトランディング」に成功したことは間違いあるまい。
社台グループ生産馬の質を支えているのは、種よりむしろ畑。何をつけても走る繁殖牝馬があれだけいれば、よほどのカス種牡馬ばかりにならないかぎり、ある程度の質は保証される。2011年はいよいよアドマイヤムーンの初年度産駒がデビューを果たすが、殿下の「本気度」を量るなら、何より繁殖牝馬の動向に注目することだ。

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