クラブの意地か個人の勢いか
4強対決と言っても3頭が同じ勝負服じゃなあ…と思っていたら、オルフェーヴルの回避で「サンデーレーシング2頭VSゴールドシップ」の3強対決に。「絵面」は多少マシになったが、聞けば、ゴールドシップもすでに社台スタリオンステーション入りの交渉が進められているとか。社台グループの立場に立てば、4頭、特に未来の種牡馬3頭がキャリアに傷をつけ合うガチンコ対決はできるだけ避けたいはず。最も「負けるわけにはいかない」馬であるオルフェーヴルがリタイアしてくれたのは、これ幸いだったのではあるまいか。同時期同路線に大物をここまで抱えてしまうのも、なかなか難儀なことである。
もっとも、今年はここまで社台系クラブ(社台レースホース・サンデーレーシング)の重賞実績はパッとしない。特に、過去2年、3冠馬を送り出したサンデーレーシングの落ち込みが大きい。近3年のそれぞれのJRA重賞勝ち実績は以下のとおり。
社台レースホース
2011年 7勝
ファアリーS ダンスファンタジア
京成杯 フェイトフルウォー
阪急杯 マルセリーナ
セントライト記念 フェイトフルウォー
札幌2歳S グランデッツァ
阪神カップ サンカルロ
2012年 9勝
中山金杯 フェデラリスト
京成杯 ベストディール
中山記念 フェデラリスト
スプリングS グランデッツァ
阪神大賞典 ギュスターヴクライ
マーチS サイレントメロディ
ラジオNIKKEI賞 ファイナルフォーム
小倉記念 エクスペディション
阪神カップ サンカルロ
2013年(6/16現在)3勝
東海S グレープブランデー
フェブラリーS グレープブランデー
マーメイドS マルセリーナ
サンデーレーシング
2011年 14勝
日経新春杯 ルーラーシップ
チューリップ賞 レーヴディソール
スプリングS オルフェーヴル
皐月賞 オルフェーヴル
金鯱賞 ルーラーシップ
ダービー オルフェーヴル
阪神ジャンプS クランエンブレム
神戸新聞杯 オルフェーヴル
京都大賞典 ローズキングダム
菊花賞 オルフェーヴル
東京スポーツ杯 ディープブリランテ
ジャパンカップ ブエナビスタ
阪神JF ジョワドヴィーヴル
有馬記念 オルフェーヴル
2012年 18勝
シンザン記念 ジェンティルドンナ
アメリカJCC ルーラーシップ
京都牝馬S ドナウブルー
きさらぎ賞 ワールドエース
桜花賞 ジェンティルドンナ
青葉賞 フェノーメノ
東海S ソリタリーキング
オークス ジェンティルドンナ
ダービー ディープブリランテ
マーメイドS グルヴェイグ
宝塚記念 オルフェーヴル
関屋記念 ドナウブルー
札幌2歳S コディーノ
ローズS ジェンティルドンナ
セントライト記念 フェノーメノ
秋華賞 ジェンティルドンナ
東京スポーツ杯 コディーノ
ジャパンカップ ジェンティルドンナ
2013年(6/16現在)4勝
京成杯 フェイムゲーム
日経賞 フェノーメノ
産経大阪杯 オルフェーヴル
天皇賞春 フェノーメノ
サンデーレーシングのような「直轄」ではないが、同クラブと同じノーザンファーム系の「キャロットファーム」も今年は重賞で振るわず、一昨年11勝、昨年7勝だったのが、目下なんと0勝。エピファネイアでの牡馬クラシック初制覇もならなかった。
ちなみに今年ここまでの重賞最多勝馬主は、キズナで3勝、クラレントで2勝、ヒットザターゲットで1勝をあげている前田晋二氏。全9勝のうち6勝が重賞というのだから驚きだ。
景気がいい時代なら、良質産駒はクラブに下ろすより、庭先やセールで個人馬主に売った方が儲かるはず(ただし近年は「ダーレー」に買い漁られるのを回避するためセレクトセールに超A級馬は上場していないとも言われるが)。今年ここまでの社台系クラブの不振が産駒レベルと関係あるかどうかは分からないが、個人馬主の成績が景気と無関係でないことは間違いあるまい。
5世代ぶりにダービーまでの世代限定G1を未勝利に終わったサンデーレーシングが、天皇賞春に続いて古馬王道G1の牙城を守るのか。それとも、またまた個人馬主の所有馬がアベノミクス効果に乗って(?)上半期を締めくくるのか、要注目だ。
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