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06/26/2013

まだまだこれからディープ古馬

現在発売中の雑誌「サラブレ」7月号の特集「ここまでわかった! ディープインパクト産駒の傾向 2013夏・最新版」は、なかなか興味深い。しかしその中の水上学氏による分析には、「どうだかなあ…」と首をかしげざるを得ない箇所もあった。

…私がマイナス面として最も重視したいのは、4歳以上でG1を勝ったのが、今春ヴィクトリアマイルのヴィルシーナが初めてだったということ。早熟とまでは言わないが、大舞台になると加齢と共にパフォーマンスが下がってきて、勝ち切れない傾向が強まっている感はある。

ディープインパクト産駒は現3歳が3世代目。ファーストクロップは現5歳。ということは、4歳以上でG1に出走できたのはまだ2世代しかない。傾向を断じるにはいくらなんでもサンプル数が少なすぎやしないか。この2世代で4歳以降JRAG1に出走した馬は今のところ以下の10頭しかいないのだ。

現5歳世代
リアルインパクト  12年安田記念12番人気6着 12年マイルCS9番人気5着
トーセンラー    13年天皇賞春3番人気2着 13年宝塚記念4番人気5着
ダノンバラード   13年宝塚記念5番人気2着
ダノンシャーク   12年マイルCS6番人気6着 13年安田記念12着3着
マルセリーナ    12年Vマイル3番人気3着 12年安田記念11番人気17着
ピクシープリンセス 12年エリザベス女王杯5番人気3着
ドナウブルー    12年Vマイル7番人気2着 12年マイルCS5番人気3着 13年Vマイル7番人気5着

現4歳世代
ジェンティルドンナ 13年宝塚記念1番人気3着
ヴィルシーナ    13年Vマイル1番人気1着 13年安田記念7番人気8着
ジョワドヴィーヴル 13年Vマイル4番人気4着

「大舞台になると加齢と共にパフォーマンスが下がってきて」という表現の対象は、「2~3歳時に大舞台で活躍した馬」とみるのが妥当だが、そういう馬は上記の中に何頭いるだろうか。
リアルインパクトは3歳時の「安田記念9番人気1着」がそもそもフロック気味だったから、4歳時の「安田記念12番人気6着」「マイルCS9番人気5着」は、勝ち切れないというよりむしろ健闘の部類。一昨年の桜花賞馬マルセリーナは4歳時のヴィクトリアマイルを3番人気3着と順当に走り、今年はマーメイドステークスで桜花賞以来の復活勝利。一昨年の2歳女王ジョワドヴィーヴルも4歳時のヴィクトリアマイルを4番人気4着と順当に走った。唯一「大舞台でのパフォーマンス低下」を匂わせるのはジェンティルドンナだが、同馬の宝塚記念3着も、それが「加齢」のせいなのか「道悪」のせいなのかは、なんとも言えまい。
一方、トーセンラー、ダノンバラード、ダノンシャークの牡馬3頭は、5歳で重賞を制し、強敵相手のG1で馬券圏内。パフォーマンスダウンどころか、ここにきて充実一途だ。

おそらく水上氏は「4歳以上でG1は1勝のみ」というデータにとらわれすぎたのだろう。「分母」がわずか2世代10頭にすぎないことや、その10頭の実績には、ほとんど目を向けていないのではなかろうか。
そもそも、現5歳のファーストクロップは少々レベルが低い。2~3歳時にG1で馬券圏内に来たのは、リアルインパクト、リベルタス、マルセリーナ、ダノンバラード、コティリオン、トーセンラーの6頭しかおらず、勝ったのはリアルインパクトとマルセリーナのみ。しかもこの6頭のうち4頭は、前述したとおり「パフォーマンスダウン」しているとは言い難い。
対して現4歳のセカンドクロップは、クラシック路線で大爆発したものの、ダービー1、3、4着馬と菊花賞最先着馬が揃って屈腱炎に見舞われ、3頭が引退、1頭が長期休養。レベルは低くないが、「大駒」が欠けている。

「感はある」と結んでいるように、氏もこの説は主観的な色合いが強いことを自覚しているのだろう。だからといって、説の根拠は大雑把でOK、ということにはなるまい。仮に今後、氏の「予言」が当たったとしても、現時点でG1級ディープインパクト産駒の「加齢によるパフォーマンス云々」を論じるのは、時期尚早だ。

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