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06/29/2017

大本命の大惨敗

ここまで馬券にならなかったレースはダービーだけ。セントライト記念以降は「7-2-2-0」で、負けた4戦も、タイム差なしが3戦、0.1秒差が1戦。そんな馬がダントツ人気を裏切って大敗を喫してしまうのだから、やはり競馬は奥が深い。キタサンブラックの宝塚記念9着を“まさか”と思わなかったファンはほぼ皆無だろう。
86年以降、単勝1.4倍以下の馬が掲示板すら外したJRA平地重賞は24レースを数える。その半数は各馬成長途上の世代限定戦で、古馬戦は以下の12レース。世代限定戦、古馬戦を通じて複数回やらかした馬はさすがにまだいない。

86年日経賞   ミホシンザン    1.4倍→6着
87年東京新聞杯 モンテジャパン   1.4倍→9着
89年中日新聞杯 カツトクシン    1.2倍→6着
97年京王杯AH ダンディコマンド  1.4倍→9着
98年天皇賞秋  サイレンススズカ  1.2倍→競走中止
99年目黒記念  セイウンエリア   1.4倍→7着
00年日経賞   グラスワンダー   1.3倍→6着
02年日経賞   マンハッタンカフェ 1.2倍→6着
03年毎日王冠  ファインモーション 1.3倍→7着
12年天皇賞春  オルフェーヴル   1.3倍→11着
15年AJC杯  ゴールドシップ   1.3倍→7着
17年宝塚記念  キタサンブラック  1.4倍→9着

上記の“まさか”には、サイレンススズカ以外にもそれなりに説明がつくものが少なくない。
ミホシンザンは苦手の道悪。
モンテジャパンは中山のオープン特別を連勝して臨んだ重賞未勝利馬だから、東京重賞でこの人気は過剰。
カツトクシンはキャリア初の道悪。
ダンディコマンドはおそらくレース中に故障。
セイウンエリアは前走オープン特別圧勝も、重賞未勝利馬がG2でこの人気は過剰。
グラスワンダーは休み明けで18キロ増。
マンハッタンカフェも休み明けでキャリア最高体重。
ファインモーションは道悪で牡馬相手に57キロ。

しかし10年以降の3頭は、明確な敗因が見当たらず、過剰人気だったとも思えない。共通するのは、それまでに二桁着順の経験があったということ。オルフェーヴルは阪神大賞典での逸走を受けて課された調教再審査のストレスが、ゴールドシップは前年の凱旋門賞挑戦の疲労残りが、キタサンブラックは大阪杯→天皇賞春(レコード)連勝による消耗が、レースを投げ出す「むらっ気」を呼び起こしてしまったか…。
オルフェーヴルもゴールドシップもこの惨敗後、さらにG1タイトルを積み重ねている。キタサンブラックにも秋以降の巻き返しを大いに期待したいものだ。

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06/23/2017

超軽量馬制覇重賞

サマースプリントシリーズ開幕戦、函館スプリントステークスを制したのは2年連続で3歳牝馬。そのジューヌエコールが背負った斤量は、昨年のソルヴェイグと同じく50キロ。86年以降、斤量50キロ以下の馬が勝ったJRA重賞はこれが21レース目、ハンデ戦以外では2年連続だがまだ3レース目である(太字)。

86年福島記念    3歳ランニングフリー  50㎏ 5番人気
88年中山牝馬S   4歳ソウシンホウジュ  50㎏ 7番人気
88年阪神牝馬特別  3歳リキアイノーザン  50㎏ 6番人気
90年七夕賞     4歳イダテンターボ   50㎏ 12番人気
90年新潟記念    6歳サファリオリーブ  49㎏ 14番人気
91年ダイヤモンドS 7歳ノースシャトル   49㎏ 5番人気
91年阪神牝馬特別  3歳マチノコマチ    50㎏ 10番人気
92年カブトヤマ記念 3歳ワンモアラブウエイ 50㎏ 7番人気
93年府中牝馬S   3歳ノースフライト   50㎏ 4番人気
94年福島記念    3歳シルクグレイッシュ 50㎏ 10番人気
96年マーチS    6歳アミサイクロン   50㎏ 14番人気
99年函館記念    4歳ジョービッグバン  50㎏ 6番人気
00年カブトヤマ記念 6歳ヘッドシップ    50㎏ 9番人気
01年中山金杯    4歳カリスマサンオペラ 50㎏ 8番人気
01年カブトヤマ記念 4歳タフネススター   48㎏ 5番人気
06年マーメイドS  3歳ソリッドプラチナム 49㎏ 9番人気
08年マーメイドS  5歳トーホウシャイン  48㎏ 12番人気
09年日経新春杯   6歳テイエムプリキュア 49㎏ 11番人気
13年愛知杯     4歳フーラブライド   50㎏ 12番人気
16年函館SS    3歳ソルヴェイグ    50㎏ 12番人気
17年函館SS    3歳ジューヌエコール  50㎏ 3番人気

ジューヌエコールの特筆すべき点は、上記21頭中最高の「3番人気」だったこと。これほどの軽量馬がこれほどの人気で勝つというのは、空前絶後と言っていいかもしれない。
ちなみに、86年以降のJRA重賞で、50キロ以下の3番人気馬は同馬を含め8頭、2番人気馬は2頭いるが、1番人気馬はまだいない。

現在、ハンデ戦以外のJRA重賞で課される最軽量は、エプソムカップ 鳴尾記念 函館スプリントステークスにおける3歳牝馬の50キロ。しかし、6月初頭に行なわれる中距離戦、エプソムカップと鳴尾記念ではまだ該当馬がなく、今後も現れる可能性は極めて低いだろう。ソルヴェイグもジューヌエコールも、重賞勝ち実績のある桜花賞完敗馬。気は早いが来年の函館スプリントステークスもこの条件を満たす50キロ馬には要注意だ。

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06/16/2017

次男坊強し

ダービー後の東京開催で2歳新馬戦がスタートしたのは12年から。当然、勝ちタイムはまだ遅い。そして、番組上は「夏」でも古馬のレベルはまだ「春」なので、指数も低く出る。
それでも、相対的に速いタイムで勝った馬には要注意だ。これまで、牡牝混合の芝1400m戦を「1分23秒以下」、同芝1600m戦を「1分36秒以下」、同芝1800m戦を「1分50秒以下」で勝った馬は以下のとおり。

東京芝1400m
1分22秒7 トウショウドラフタ→クロッカスS1着・ファルコンS1着・信越S1着
1分23秒0 マイネルバールマン→クリスマスS1着・端午S1着
1分22秒8 アエロリット   →NHKマイルC1着

東京芝1600m
1分35秒7 ロードクエスト →新潟2歳S・NHKマイルC2着・京成杯AH1着
1分34秒8 ステルヴィオ  →?

東京芝1800m
1分50秒0 メジャーエンブレム→阪神JF1着・クイーンC1着・NHKマイルC1着
1分49秒9 イブキ
1分49秒9 ジナンボー    →?

昨年までの勝ち馬6頭のうち、5頭は同年か翌年にオープンを、2頭はG1を勝っている。残る1頭、現3歳のイブキも、新馬直後の新潟2歳ステークスでは3着、3歳500万条件の水仙賞では京都新聞杯2着・白百合ステークス1着のサトノクロニクルを2着に下しており、今年中にオープンを勝つ可能性は十分残されている。
となると、今年ここまでの好タイム勝ち馬2頭、ステルヴィオとジナンボーにも大きな期待をかけたくなる。特に、パドックでは若さを覗かせながらもレースでは優等生に一変し、ノーステッキで楽勝した後者は大物感たっぷり。“12冠配合”はだてではない。

この超良血馬、単に母の2番子であるからその名を与えられたわけではあるまい。日本一の個人馬主なればこそ、名馬に“次男坊”が多いことをご存じなのだろう。グレード制導入以降のダービー馬に限っても、母にとって2頭目の牡馬産駒だった馬は以下の14頭にのぼり、その半数が、変則含む2冠馬or3冠目。そしてなんと、目下4連勝中だ。

シンボリルドルフ
メリーナイス
トウカイテイオー
ナリタブライアン
タヤスツヨシ
キングカメハメハ
ディープインパクト
ディープスカイ
ロジユニヴァース
ディープブリランテ
ワンアンドオンリー
ドゥラメンテ
マカヒキ
レイデオロ

ジナンボー自身だけでなく、父ディープインパクトも母父キングカメハメハも、金子オーナーが所有した次男坊。3頭目のダービー馬、マカヒキも次男坊。さらに言えば、母アパパネは「次女」。同オーナーにとって“ジナンボー”は魔法の言葉であり、決して珍名ではないのである。

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06/09/2017

6歳以上馬上位独占

10頭中7頭が6歳以上だった鳴尾記念の掲示板5頭は「6→7→6→6→5歳」。さらに翌日の安田記念も、18頭中12頭が6歳以上で、掲示板5頭は「6→7→6→5→4歳」。遅れてきた5歳の大器グレーターロンドンと、昨年の3冠好走馬エアスピネルは健闘したが、馬券に絡んだのは6歳以上馬だけだった。
一般的に、競走馬がピークを迎えるのは4~5歳とされ、最高峰のG1でこの2世代が不発に終わることは珍しい。86年以降、1~3着を6歳以上馬が占めたJRA古馬平地G1は以下の8レースしかない。

93年宝塚記念
1着 6歳メジロマックイーン(1番人気)
2着 6歳イクノディクタス (8番人気)
3着 6歳オースミロッチ  (10番人気)

05年高松宮記念
1着 6歳アドマイヤマックス(4番人気)
2着 6歳キーンランドスワン(6番人気)
3着 6歳プレシャスカフェ (1番人気)

05年スプリンターズS
1着 8歳サイレントウィットネス(1番人気)
2着 6歳デュランダル     (2番人気)
3着 6歳アドマイヤマックス  (3番人気)
4着 4歳マルカキセキ     (7番人気)

06年安田記念
1着 7歳ブリッシュラック (3番人気)
2着 7歳アサクサデンエン (10番人気)
3着 6歳ジョイフルウィナー(8番人気)
4着 5歳ダイワメジャー  (2番人気)
5着 5歳ダンスインザムード(4番人気)

08年フェブラリーS
1着 6歳ヴァーミリアン (1番人気)
2着 8歳ブルーコンコルド(7番人気)
3着 6歳ワイルドワンダー(3番人気)

08年ジャパンCダート
1着 6歳カネヒキリ    (4番人気)
2着 6歳メイショウトウコン(7番人気)
3着 6歳ヴァーミリアン  (1番人気)

12年フェブラリーS
1着 6歳テスタマッタ   (7番人気)
2着 6歳シルクフォーチュン(4番人気)
3着 6歳ワンダーアキュート(2番人気)

17年安田記念
1着 6歳サトノアラジン (7番人気)
2着 7歳ロゴタイプ   (8番人気)
3着 6歳レッドファルクス(3番人気)

05年のスプリンターズステークスと06年の安田記念は、高齢まで活躍する香港のセン馬が3着以内に来た(サイレントウィットネス・ブリッシュラック・ジョイフルウィナー)。日本馬に限ると、この2レースは該当しない。さらに、年明けから(=全馬が1歳年を重ねてから)まだ3か月もたっていない4歳限定戦のフェブラリーステークスと高松宮記念を除くと、93年の宝塚記念、08年のジャパンカップダート、そして今年の安田記念の3レースだけである。
赤字で示したこの3レースは別路線。芝中長距離とダートの一線級はしばしば“新陳代謝”が悪くなるが、芝マイルは現代競馬の最激戦区だけに“ベテラン天国”になるのは異例中の異例と言っていいだろう。
残る上半期G1宝塚記念は、5歳馬キタサンブラックが大本命。24年ぶりの6歳以上馬上位独占はまずなさそうだが、はたして…。

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06/01/2017

ホールオブフェームな1勝

ダービーデーの最終レースとしてすっかり定着した目黒記念。今年この古馬ハンデG2を制したのは、ダービージョッキーを背にした8番人気フェイムゲーム。個人的にはダービーよりもこちらの結果の方が、マニア心をそそられた。

このレースで同馬が背負ったハンデは58キロ。86年以降、JRA平地ハンデ重賞を58キロ以上で勝った馬はのべ73頭を数えるが、そのうち39頭は1番人気。つまり「人気の格上馬は強い」ということ。5番人気以下だったのは以下の9頭にすぎない。

5番人気
91年金杯(東) カリブソング (5歳牡・59キロ) 
97年新潟大賞典 マイヨジョンヌ(7歳牡・58キロ)
01年日経新春杯 ステイゴールド(7歳牡・58.5キロ)

6番人気
87年金杯(西)   ドウカンヤシマ  (7歳牡・58.5キロ)
92年ダイヤモンドS ミスターシクレノン(7歳牡・59キロ)
03年京成杯Aハンデ ブレイクタイム  (6歳牡・58キロ)

7番人気
11年マーチS テスタマッタ (5歳牡・58キロ)
14年中京記念 サダムパテック(6歳牡・58キロ)

8番人気
17年目黒記念 フェイムゲーム(7歳牡・58キロ)

8番人気Vは、86年以降のレコード更新。休み明けでやってのけたフェイムゲームも、テン乗りで導いたルメールも大したものである。

偉業はもうひとつある。昨年、宝塚記念を最下位に沈んだあと去勢手術を受けたフェイムゲームにとって、この重賞5勝目はセン馬になってから初のタイトル。86年以降、JRA重賞を制したセン馬は49頭を数えるが(外国馬を除く)、そのうち去勢前も重賞を勝っていたのは同馬だけなのだ。
このことは大きく注目されていいだろう。ほんのひと握りの主流血統馬しか種牡馬になれず、生産頭数が最盛期の7割以下にまで減少している現在、日本の競馬界も去勢によって「馬資源」をもっと有効活用すべきではなかろうか。フェイムゲームのエポックメイキングな“去勢前後重賞V”が、その端緒となることを期待したい。

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