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07/27/2017

超個性派サウスポー

サマーマイルシリーズ第1戦、中京記念を制したのは、重賞初挑戦の5歳馬ウインガニオン。この馬の戦績はなかなか興味深い。

条件戦とオープン特別を地道にコツコツと勝ち上がってきたため、これが通算8勝目。目下、芝で8勝以上あげている現役馬は13頭を数えるが、そのうち11頭は6歳以上。5歳以下は2頭だけで、ウインガニオンともう1頭、同期の大物、最多10勝のキタサンブラックだけである。

好調期と不調期の落差が激しいのも大きな特徴。全8勝を2連勝(未勝利→500万)、3連勝(500万→1000万→1600m)、3連勝(オープン特別→オープン特別→G3)であげている一方で、全14敗中12敗が掲示板外、8敗が二桁着順。こんな実績だから人気を集めることはほとんどなく、1番人気は1回(12着)、2番人気も1回(14着)だけで、8勝時は7、4、9、6、6、12、3、5番人気。穴党垂涎、本命党泣かせの“勝つか完敗か”というタイプである。

さらに目を引くのが、まれにみる“サウスポー”であること。右回り「1-0-1-9」に対し、左回りは「7-0-0-4」。新潟が左回りに替わった01年以降、左回り芝コースでの「7勝」は、シンゲンと並んで最多タイだ。ただし、シンゲンは7勝中6勝を東京であげており、中京は走ってもいない。一方、ウインガニオンは「東京2勝&新潟3勝&中京3勝」。この3場で各2勝以上あげた馬は同馬だけである。

オープン3連勝は、新潟→東京→中京。左回り全3場で芝オープンを勝った馬は、今のところ以下の3頭しかいない。

キンシャサノキセキ 07年谷川岳S   07年キャピタルS 10年高松宮記念
トウショウドラフタ 16年クロッカスS 16年ファルコンS 16年信越S
ウインガニオン   17年谷川岳S   17年パラダイスS 17年中京記念

次走はおそらく、新潟芝マイルの関屋記念。勝てば01年以降単独最多の「左回り芝8勝」「左回り全3場で芝オープン4勝」、そして、サマーマイルシリーズ制覇。同シリーズ3戦中2戦が左回りであることを、これほど有り難く思える馬もいまい。

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07/21/2017

若い高齢馬の初タイトル

函館記念を制したのは6歳馬ルミナスウォリアー。年齢の割に使われていないため、通算22戦目での重賞初勝利。そのはるかに上を行くのが、今回はまさかの15着に敗れてしまったステイインシアトル。同馬の前走鳴尾記念Vは、6歳にしてキャリア10戦目の重賞初制覇だった。
2000年以降、ルミナスウォリアーをしのぐ「キャリア21戦目以下」で「牡牝混合芝重賞初制覇」を果たした6歳以上馬は以下の20頭である。

10戦目
ステイインシアトル 17年鳴尾記念(6歳)

11戦目
ヴァンセンヌ 15年東京新聞杯(6歳)

13戦目
トーホウシデン 03年中山金杯(6歳)
シンゲン    09年新潟大賞典(6歳)→09年エプソムC・10年オールカマー

15戦目
サンプレイス   01年新潟記念(6歳)
ミスズシャルダン 01年小倉大賞典(6歳)

16戦目
ダイワレイダース  05年七夕賞(6歳)
アクシオン     09年鳴尾記念(6歳)
ダンスディレクター 16年シルクロードS(6歳)

17戦目
ウインラディウス 04年東京新聞杯(6歳)→04年京王杯SC・05年富士S
マッキーマックス 06年ダイヤモンドS(6歳)
ケイティラブ   10年アイビスSD(6歳)

18戦目
ブロードアピール 00年シルクロードS(6歳)
クリスザブレイヴ 01年富士S(7歳)
ゴールデンダリア 10年新潟大賞典(6歳)
ジャガーメイル  10年天皇賞春(6歳)

19戦目
トランスワープ 12年函館記念(7歳)

20戦目
ロードクロノス 01年中京記念(6歳)
ミトラ     14年福島記念(6歳)

21戦目
トーキングドラム 17年阪急杯(7歳)

現役馬3頭を含む上記20頭のうち赤字の10頭は、当該レースが最後の勝ち星となった。一方、その後芝重賞を2勝以上した馬は、シンゲンとウインラディウス。まだキャリア11戦、サトノアレスより2戦多いだけのステイインシアトルには、ぜひこの2頭を目指してもらいたい。

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07/14/2017

難しい2000シリーズ2勝

創設から今年で12回目となるサマースプリントシリーズとサマー2000シリーズ。距離的な負荷がより小さく、レース数が12年から6レースとなった前者は、複数のレースに出走するハードルが後者よりも低い。そのため、過去11回のうち8回は2勝馬がチャンピオンになっており、08年のスリープレスナイトと11年のカレンチャンのように、2勝しながら優勝を逃した馬さえいる。

07年 サンアディユ   (アイビスSD・セントウルS)
08年 カノヤザクラ   (アイビスSD・セントウルS)
   スリープレスナイト(CBC賞・北九州記念)
10年 ワンカラット   (函館SS・キーンランドC)
11年 エーシンヴァーゴウ(アイビスSD・セントウルS)
   カレンチャン   (函館SS・キーンランドC)
12年 パドトロワ    (アイビスSD・キーンランドC)
13年 ハクサンムーン  (アイビスSD・セントウルS)
14年 リトルゲルダ   (北九州記念・セントウルS)
15年 ベルカント    (アイビスSD・北九州記念)

対して2000シリーズの2勝馬は以下の3頭のみ。もちろんすべてチャンピオンになっている。

11年 イタリアンレッド(七夕賞・小倉記念)
12年 トランスワープ (函館記念・新潟記念)
13年 トウケイヘイロー(函館記念・札幌記念)

真夏の2000m戦を複数回走るという“そもそも大きな負荷”のほかに、2000シリーズでの2勝を難しくしている大きな原因が「レース条件」。すなわち、スプリントの方は6戦中2戦にすぎないハンデ戦が、こちらは5戦中4戦を占めることだ。
勝てば次走でより重いハンデを課されるのは当然。軽ハンデを味方に1勝目をあげた格下馬にとっても、そこそこのハンデで1勝目をあげた格上馬にとっても、2勝目は1勝目よりはるかに難しくなる。だからといって札幌記念に矛先を向けると、定量G2だけに相手が強い。2勝できるのは、並外れた上がり馬に限られると言っていいだろう。
しかし、その並外れた上がり馬3頭が払った代償は小さくない。イタリアンレッドは続く府中牝馬ステークスも勝って3連勝を果たしたが、エリザベス女王杯は9着に惨敗し、翌年の中山牝馬ステークス14着で引退。トランスワープはぶっつけで天皇賞秋に挑み、ブービー17着。続くAJC杯は2着に来たが、以後11、9、9、16着で引退。トウケイヘイローも次走は天皇賞秋に向かい、2番人気で10着惨敗。続く香港カップは2着と健闘したが、その後8戦、馬券に絡むことなく引退した。
今年の2000シリーズ初戦は、57キロで1番人気の4歳馬ゼーヴィントが完勝。重ハンデでもシリーズ2勝目を狙える大器とみていたが、残念ながら骨折が判明した。“潰れる前に軽く壊れた”と思いたい…。

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07/07/2017

前途洋々の54キロV

函館芝1800mで行なわれる3歳以上オープン特別、巴賞。その歴史は古く、第1回はなんと1962年。クイーンステークスの「秋の関東」時代を除けば、現行北海道オープン競走中、最古のレースである。
今年の覇者サトノアレスを管理する藤沢師は、この伝統の一戦が大得意。「のべ21頭」の出走は、伊藤雄二元師の「のべ12頭」を大きく離して、86年以降のダントツレコード。「通算5勝」は、同元師と並ぶ4勝から抜け出して、86年以降の単独トップ。勝ち馬5頭がすべて1番人気というのも驚きだ。

96年プレストシンボリ(4歳牡/1番人気)
03年ウインシュナイト(5歳牡/1番人気)
04年シェルゲーム  (3歳牡/1番人気)
16年レッドレイヴン (6歳牡/1番人気)
17年サトノアレス  (3歳牡/1番人気)

残念ながらサトノアレス以前の4頭はその後重賞には手が届かず、プレストシンボリ以外の3頭は当該巴賞が最後の勝ち星となってしまったが、サトノアレスには大きな期待をかけたくなる。
その根拠は、同馬が背負った斤量。86年以降、アラブ戦を除く牡牝混合の北海道オープン競走を54キロ以上(牝馬は52キロ以上)で制した3歳馬は以下のとおりだ。

86年函館記念     (函館芝2000m)ニッポーテイオー  55キロ
88年函館記念     (函館芝2000m)サッカーボーイ   56キロ
88年UHB杯     (函館芝1800m)ヤエノムテキ    57キロ
89年札幌日刊スポーツ杯(函館芝1200m)コクサイリーベ   52キロ
90年シーサイドS   (函館ダ1700m)メルシーアトラ   55キロ
92年札幌記念     (札幌芝2000m)サンエイサンキュー 52キロ
95年マリーンS    (函館芝1200m)ニホンピロスタディ 54キロ
00年札幌日刊スポーツ杯(函館芝1000m)テネシーガール   52キロ
06年札幌記念     (札幌芝2000m)アドマイヤムーン  54キロ
14年札幌記念     (札幌芝2000m)ハープスター    52キロ
17年巴賞       (函館芝1800m)サトノアレス    54キロ

芝1800~2000m戦を勝った牡馬に限ると、サトノアレス以外の4頭、ニッポーテイオー、サッカーボーイ、ヤエノムテキ、アドマイヤムーンはすべて、その後古馬G1を制している。秋以降の大舞台で要注意の藤沢厩舎所属3歳馬は、ソウルスターリングとレイデオロだけではない。

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