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08/31/2017

恐るべき超高齢馬

サマースプリントシリーズ第5戦、キーンランドカップを制したのは、なんと9歳馬のエポワス。一昨年1着、昨年2着のUHB賞を前走で完敗したせいだろう、ブービー12番人気の低評価に甘んじたが、3走前は大阪-ハンブルクカップ1着、2走前は函館スプリントステークス3着なのだから、いくらなんでも人気なさすぎ。この勝利はフロックでもなんでもない。
86年以降、JRAの平地オープンを9歳以上で3着以内に来た馬は38頭。そのうち2回以上やってのけたのは14頭。3回以上となると、以下の6頭しかいない。

アサカディフィート
07年 中山金杯   (中山芝2000m)10番人気2着
07年 小倉大賞典  (小倉芝1800m)10番人気1着
07年 アンドロメダS(京都芝2000m)8番人気1着
08年 小倉大賞典  (小倉芝1800m)6番人気1着

ニシノコンサフォス
09年 太秦S     (京都ダ1200m)4番人気3着
10年 ジャニュアリーS(中山ダ1200m)4番人気1着
10年 千葉S     (中山ダ1200m)1番人気2着

マヤノライジン
10年 小倉大賞典(中京芝1800m)13番人気4着
10年 大坂城S (阪神芝1800m)8番人気1着
11年 函館記念 (函館芝2000m)12番人気2着

トウカイトリック
11年 ステイヤーズS(中山芝3600m)12番人気3着
12年 ステイヤーズS(中山芝3600m)8番人気1着
13年 ステイヤーズS(中山芝3600m)7番人気3着

エーシンビートロン
15年 ポラリスS(阪神ダ1400m)11番人気3着
15年 千葉S  (中山ダ1200m)7番人気3着
15年 エニフS (阪神ダ1400m)10番人気1着

エポワス
17年 大阪-ハンブルクC(阪神芝1400m)4番人気1着
17年 函館スプリントS (函館芝1200m)7番人気3着
17年 キーンランドC  (札幌芝1200m)12番人気1着

1番人気で3着以内に来たのはニシノコンサフォスだけ。エポワスも前走のUHB賞は1番人気だったのだが、9歳以上でのJRA平地オープン1番人気は、結果によらず稀なこと。86年以降では、以下ののべ4頭しかいない。

トウカイエリート  09年万葉S (京都芝3000m)1番人気6着
ニシノコンサフォス 10年千葉S (中山ダ1200m)1番人気2着
ニシノコンサフォス 10年京葉S (中山ダ1200m)1番人気4着
エポワス      17年UHB賞(札幌芝1200m)1番人気7着

ニシノコンサフォスは10歳で2回。さすがのエポワスもこの記録を破るのは至難の業だが、9歳にしてまだキャリア29戦なら、アサカディフィートの「3勝」「3着以内4回」は格好の目標。さらなる活躍を大いに期待したい。

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08/24/2017

怪物候補誕生

例年、夏季新馬戦の中では最も粒揃いのメンバーとなるのが、北海道シリーズの芝1800m戦。この条件が設定されたのは95年から。以後、昨年まで計114レースが施行され、114頭の勝ち馬のうち27頭がのちに重賞を制し、以下の12頭がG1ウィナーとなっている。

イシノサンデー
メジロブライト
ジャングルポケット
ヤマニンシュクル
アドマイヤムーン
マツリダゴッホ
ローブデコルテ
ゴールドシップ
ヴィルシーナ
ローブティサージュ
レッツゴードンキ
ソウルスターリング

近年この条件は、函館で3鞍、札幌で4鞍組まれるのがスタンダード。今年も先週で全レースを消化し、前評判の高かった良血馬が順当に勝ち上がっている。中でも目を引くのが、トリを飾った先週の一戦。あのモーリスの全弟、ルーカスが発揮したパフォーマンスは驚くべきものだった。
勝ちタイムは「1分50秒6」、上がり3ハロンは「34.4秒」。函館または札幌の芝1800m新馬戦で、勝ちタイムが1分51秒を切り、かつ、上がり3ハロンが35秒を切ったのは、実に10年ぶり、史上3頭目の快挙なのである。

06/8/20札幌 オーソリティバイオ 1分49秒9 34.6秒
07/8/12札幌 サブジェクト    1分50秒5 34.4秒
17/8/20札幌 ルーカス      1分50秒6 34.4秒

タイムを指数化すると、ルーカスのパフォーマンスはさらに際立つ。2010年以降、札幌芝1800mの新馬戦を、スピード指数・ペース指数とも「45」以上、かつ、スピード指数またはペース指数が「50」以上で勝った馬は以下のとおり。

10/8/15 イイデタイガー   45-55
10/9/05 ルルーシュ     67-46
10/9/20 マリアビスティー  63-46
11/8/14 ベストディール   46-49
11/8/21 マカハ       48-55
11/9/11 レッドアーヴィング 55-48
12/7/22 エデンロック    46-52
14/8/03 アドマイヤガスト  51-48
14/8/09 フローレスダンサー 51-49
14/8/16 シャルール     63-46
16/7/31 ソウルスターリング 53-55
16/8/21 ディープウォーリア 63-46
17/7/30 レイエンダ     49-52
17/8/20 ルーカス      68-57

ルーカスのスピード指数「68」も、ペース指数「57」も14頭中ベスト。両指数とも「55」を超えた馬はほかにおらず、「50」を超えた馬もソウルスターリングのみ。4歳で本格化したモーリスの全弟なら早熟とも思えず、怪物ムードが漂う。
2着馬はキンカメ×ディープで、祖母がエアグルーヴ。3着馬はディープ×キンカメで、伯父がレッドスパーダ。4着馬はサトノラーゼンの半弟。5着馬はショウナンマイティの半弟。戦前言われていたように、この一戦が新たな“伝説の新馬戦”となる可能性は高そうだ。

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08/17/2017

ローカル3場重賞制覇

スタンド前で競りかけられた七夕賞は、1000m58.0秒という厳しい逃げを余儀なくされて、ブービー11着に敗れたマルターズアポジー。明確な原因があって惨敗したトップハンデ馬は、往々にしてその後人気の盲点になるものだが、関屋記念の同馬がまさにそう。昨夏以降、家賃が高かった有馬記念と大阪杯を除けば、1000万→1600万→福島記念→小倉大賞典と4連勝したにも関わらず、七夕賞惨敗のせいで関屋記念は7番人気。おかげでマークが緩んだ今回は、すんなりマイペースの逃げを打ち、危なげなく押し切ることができた。
これでマルターズアポジーは重賞通算3勝。一見、地味な3タイトルだが、実は歴史的と言ってもいい快記録を達成している。86年以降、本州ローカル4競馬場(新潟・福島・中京・小倉)のうち3場で平地重賞を制した馬は、なんと同馬が初めてなのだ。北海道2場を含めても、ローカル3場重賞ウィナーは以下の5頭しかいない。

ビリーヴ
02年スプリンターズS(新潟芝1200m)
03年高松宮記念   (中京芝1200m)
03年函館スプリントS(函館芝1200m)

フミノイマージン
11年福島牝馬S(新潟芝1800m)
11年愛知杯  (小倉芝2000m)
12年札幌記念 (札幌芝2000m)

カレンチャン
11年函館スプリントS(函館芝1200m)
11年キーンランドC (札幌芝1200m)
12年高松宮記念   (中京芝1200m)

パドトロワ
12年アイビスSD  (新潟芝1000m)
12年キーンランドC (札幌芝1200m)
13年函館スプリントS(函館芝1200m)

マルターズアポジー
16年福島記念 (福島芝2000m)
17年小倉大賞典(小倉芝1800m)
17年関屋記念 (新潟芝1600m)

こうなったらマルターズアポジーにはぜひ、中京競馬場でも重賞を勝ち、“本州ローカル完全制覇”を果たしてもらいたい。芝1600~2000mの適鞍は3鞍。金鯱賞は別定G2なので厳しそうだが、ハンデG3の中日新聞杯と中京記念はチャンス十分だろう。
ちなみに今週の札幌記念には、すでに中京と福島で重賞を勝っているヤマカツエースが出走する。勝てば86年以降6頭目のローカル3場重賞ウィナーとなるが、はたして…。

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08/10/2017

二桁人気馬ワンツー重賞

過去8回、1番人気が5勝、2番人気が3勝。3番人気以下が勝ったことはなく、4番人気以下の2着馬は3頭のみ。そんな堅い重賞、レパードステークスが、今年は荒れに荒れた。
第1回の覇者トランセンドを上回る、単勝1.5倍の大本命がまさかの3着に敗れ、二桁人気馬がワンツー。配当は、馬連が95,320円、馬単が251,840円。3連複は42,750円にとどまったが、3連単はなんと807,250円。直線一気でクビ差4着の13番人気ブライトンロックがエピカリスを交わしていたら、3連単は驚くなかれ、7,997,230円だったところだ。

86年以降、二桁人気馬がワンツーを決めたJRA重賞は29レースを数えるが、うち13レースは荒れやすい牝馬限定戦。それ以外の牡牝混合戦16レースは以下のとおり。

86年金鯱賞
18番人気イズミスター→12番人気ワンダーヒロイン
1番人気ワカオライデン4着 4.6倍

88年金杯(東)
12番人気アイアンシロー→11番人気ダンケリキヤ
1番人気バーニングダイナ8着 4.7倍

89年NHK杯
11番人気トーワトリプル→10番人気リアルバースデー
1番人気カミノフシラビ8着 5.4倍

89年安田記念
10番人気バンブーメモリー→12番人気ダイゴウシュール
1番人気ホクトヘリオス4着 3.6倍

95年京王杯スプリングC
17番人気ドゥマーニ→15番人気ビコーアルファー
1番人気トーヨーリファール8着 5.0倍

97年皐月賞
11番人気サニーブライアン→10番人気シルクライトニング
1番人気メジロブライト4着 2.9倍

98年札幌3歳S
11番人気マイネルプラチナム→12番人気スタートマーチ
1番人気マチカネテルテル6着 1.4倍

98年アルゼンチン共和国杯
12番人気ユーセイトップラン→10番人気エーピーランド
1番人気グラスワンダー6着 3.0倍

99年共同通信杯
10番人気ヤマニンアクロ→13番人気キンショーテガラ
1番人気グラスグラード7着 1.5倍

02年菊花賞
10番人気ヒシミラクル→16番人気ファストタテヤマ
1番人気ノーリーズン競走中止 2.5倍

05年天皇賞春
13番人気スズカマンボ→14番人気ビッグゴールド
1番人気リンカーン6着 5.4倍

07年ニュージーランドT
11番人気トーホウレーサー→16番人気マイネルフォーグ
1番人気スズカコーズウェイ4着 2.4倍

08年東海S
13番人気ヤマトマリオン→16番人気ラッキーブレイク
1番人気ワンダースピード4着 3.4倍

10年中山記念
13番人気トーセンクラウン→12番人気テイエムアンコール
1番人気キングストリート7着 3.2倍

15年京成杯AH
13番人気フラアンジェリコ→11番人気エキストラエンド
1番人気アルビアーノ7着 4.3倍

17年レパードS
11番人気ローズプリンスダム→12番人気サルサディオーネ
1番人気エピカリス3着 1.5倍

連対馬2頭とも単勝オッズが万馬券だったのは、08年の東海ステークスのみ。馬連160,050円はもちろん上記レース中最高である。
今年のレパードステークスの結果で目を引く点は、16レース中唯一、1番人気が3着を確保していること。単勝1倍台の1番人気は、ほかにも98年札幌3歳ステークスのマチカネテルテルと、99年共同通信杯のグラスグラードがいるが、いずれも掲示板外。脚を余して3着のエピカリスは「負けて強し」と言うほかない。それはちょうど、11番人気クィーンスプマンテ、12番人気テイエムプリキュアの後塵を拝した09年エリザベス女王杯の大本命(単勝1.6倍)ブエナビスタを彷彿させる。同馬はその後、歴史的名牝にまで上り詰めたが、エピカリスははたして…。

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08/04/2017

驚異の上がり31.6秒V

アイビスサマーダッシュを制したラインミーティアは、“短距離の差し馬”ならぬ“直線の追い込み馬”。このコースで公式に発表される「通過順」は400m地点でのものだが、同馬のそれは、全12戦中なんと8戦が10番手以下で、残る4戦も7~9番手。そんな馬の直線実績が「2-1-0-9」で、掲示板を外したのが2回だけというのは、凄いとしか言いようがない。
超高速コースで追い込みを決めればもちろん、上がり3ハロンは異次元だ。今回は、春に1000万を勝った時と同じ「31.6秒」。86年以降の中央競馬で、上がりが32秒を切った勝ち馬は以下ののべ21頭である。

メジロダーリング  31.7秒 01年アイビスSD
カルストンライトオ 31.9秒 02年アイビスSD
イルバチオ     31.6秒 03年アイビスSD
タカオルビー    31.8秒 04年新潟日報賞(1600万)
カルストンライトオ 31.9秒 04年アイビスSD
プリティメイズ   31.7秒 05年閃光特別(500万)
フサイチホクトセイ 31.9秒 05年新潟日報賞(1600万)
オースミグラスワン 31.9秒 08年新潟大賞典
ゼットカーク    31.8秒 08年稲妻特別(1000万)
エーシンヴァーゴウ 31.8秒 11年アイビスSD
エバーローズ    31.8秒 12年稲妻特別(1000万)
ハクサンムーン   31.9秒 13年アイビスSD
セイコーライコウ  31.9秒 14年アイビスSD
ネロ        31.9秒 15年駿風S(1600万)
サトノギャラント  31.9秒 15年谷川岳S(OP)
ベルカント     31.9秒 15年アイビスSD
プリンセスムーン  31.8秒 15年邁進特別(1000万)
ベルカント     31.7秒 16年アイビスSD
レッドラウダ    31.8秒 16年稲妻S(1600万)
ラインミーティア  31.6秒 17年邁進特別(1000万)
ラインミーティア  31.6秒 17年アイビスSD

上記21レースの舞台はすべて、リニューアル後の新潟芝コース。そして、オースミグラスワンが勝った新潟大賞典(2000m)とサトノギャラントが勝った谷川岳ステークス(1600m)以外はすべて、直線1000m。2000年以前はどこまで遡っても、上がり31秒台の勝ち馬はいないと断じてよく、今後も新潟、とりわけ直線1000m戦以外で該当馬が現れることは考えづらい。
というわけでラインミーティアは目下、イルバチオと並ぶ「日本競馬史上最速上がり勝ち馬」。上がり31秒台で2勝した馬は同馬のほかにカルストンライトオとベルカントがいるが、ラインミーティアの「31.6秒で2勝」は別格と言っていい。もっとも、上がり31秒台勝ち馬は近年増加傾向にあるため、上がりレコードがいつ更新されても、新たな2勝以上馬がいつ出現しても不思議はなさそうだが…。
ちなみに、新潟以外で31秒台の上がりを繰り出した馬は、15年マイラーズカップ(京都芝外回り1600m)の7着馬ディアデラマドレのみ(31.9秒)。日本競馬史上最速上がりは、昨年のアイビスサマーダッシュで7着馬ブライトチェリーが繰り出した「31.5秒」である。

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