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01/31/2018

楽じゃない乗り替わりV

テン乗り内田でスプリンターズステークスを大敗したファインニードルが、シルクロードステークスは川田に乗り替わって1着。乗り替わられた内田は、クリスチャン・デムーロから乗り替わったテン乗りノンコノユメで根岸ステークス制覇。先週の重賞2鞍は、ともに乗り替わりジョッキーが制する結果となった。
すべての乗り替わりは、2つのパターンに大別されよう。すなわち、より上位の騎手でより上位の着順を狙う「積極的乗り替わり」と、前走以下の騎手しか確保できない「消極的乗り替わり」だ。この2パターンからなる乗り替わりのトータル成績は、「非乗り替わり」と比べて上なのか下なのか。86年以降のJRA重賞においては、以下のとおりである。

乗り替わり  1479-1640-1689-22614 勝率.054 連対率.114 複勝率.175
非乗り替わり 2487-2330-2283-21646 勝率.087 連対率.168 複勝率.247

全レースに占める割合は、乗り替わりが51.2%、非乗り替わりが48.8%と、ほとんど変わらないが、成績は一目瞭然、“動かなかった”方がいい。「積極的乗り替わり」と「消極的乗り替わり」の内訳までは分からないものの、前者が「非乗り替わり」より上ということはあるまい。

乗り替わりで勝負をかけるなら、乗り替わりで強い騎手。現在、JRA重賞を乗り替わりで20勝以上あげている現役騎手は14名。その勝率上位10名は以下のとおり。

デムーロ 51勝 勝率.194 連対率.259 複勝率.350
武豊   113勝 勝率.158 連対率.270 複勝率.375
戸崎   27勝 勝率.126 連対率.223 複勝率.298
ルメール 25勝 勝率.109 連対率.213 複勝率.287
横山典  74勝 勝率.107 連対率.199 複勝率.296
福永   50勝 勝率.091 連対率.192 複勝率.296
岩田   37勝 勝率.085 連対率.175 複勝率.280
川田   23勝 勝率.076 連対率.126 複勝率.213
池添   26勝 勝率.067 連対率.130 複勝率.189
蛯名   41勝 勝率.061 連対率.160 複勝率.229

武豊の磐石ぶりはさすがだが、恐るべきはデムーロの勝率「.194」。これは多くのファンにとってイメージどおりだろう。

一方、現在、JRA重賞を非乗り替わりで20勝以上あげている現役騎手は20名。その勝率上位10名は以下のとおりだ。

武豊   210勝 勝率.230 連対率.367 複勝率.461
ルメール 29勝 勝率.227 連対率.414 複勝率.563
デムーロ 24勝 勝率.182 連対率.326 複勝率.470
岩田   53勝 勝率.137 連対率.254 複勝率.373
蛯名   86勝 勝率.130 連対率.227 複勝率.319
川田   37勝 勝率.123 連対率.216 複勝率.312
福永   75勝 勝率.122 連対率.221 複勝率.345
横山典  91勝 勝率.119 連対率.230 複勝率.314
浜中   25勝 勝率.113 連対率.190 複勝率.258
池添   48勝 勝率.104 連対率.193 複勝率.280

やはり武豊には脱帽だが、こちらの方の恐るべき数字は、ルメールの連対率「.414」と複勝率「.563」。これまた多くのファンのイメージどおりではないだろうか。それともうひとつ目を引くのは、デムーロの勝率が乗り替わりでの勝率より低いこと。やはりこの男、普通じゃない。

冒頭に戻る。ファインニードルではなくノンコノユメ、という内田の選択はかなりリスキーだった。前者は圧勝、後者は辛勝。ラッキーというより、名手の意地か…。

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01/25/2018

名馬へのパスポート

東海ステークスの前身は、84年に創設された年末開催のG3「ウインターステークス」。それが「東海テレビ杯 東海ウインターステークス」と改称し、G2に昇格したのは97年。これに、91年創設の春季オープン特別「東海ステークス」が合流し、5月開催に移行したのが00年。このとき「東海テレビ杯」と「ウインター」が外され、合流したオープン特別と同じ「東海ステークス」に再改称し、現在に至る。ただし施行時期は、13年から1月、また「ウインター」に戻ったが。
現在、「Jpn2」は11レースもあるのだが、JRAのダートG2はこのレースしかない。賞金が高いJRAのG2が増えると、相対的に「Jpn1」の価値が下がるため、JRAが自粛しているのではなかろうか。ちなみに東海ステークスの1着賞金は5500万円。これは川崎記念、帝王賞より500万円安いだけで、南部杯より1000万円も高い。

今年この格高重賞を制したのは、昨春から本格化したテイエムジンソク。前走、同コースのG1を1番人気で2着の馬だから、当然、大本命。単勝はなんと1.3倍だった。
86年以降、JRA芝重賞で単勝1.3倍以下に支持された馬はのべ147頭もいるが、同ダート重賞ではのべ11頭。アラブ戦を除くと、以下の9頭だけである。

エルコンドルパサー 1.2倍1着 98年共同通信杯(芝→ダート代替)
スターリングローズ 1.3倍1着 02年プロキオンS
アドマイヤドン   1.3倍1着 04年フェブラリーS
ウインデュエル   1.2倍2着 04年エルムS
カネヒキリ     1.1倍1着 05年ユニコーンS
カネヒキリ     1.3倍2着 05年武蔵野S
エスポワールシチー 1.3倍2着 12年平安S
アジアエクスプレス 1.3倍12着 14年ユニコーンS
テイエムジンソク  1.3倍1着 18年東海S

惨敗したアジアエクスプレスと、レース後二度目の屈腱炎に見舞われたウインデュエル以外はすべて、その後G1を勝っている。スターリングローズ以外の4頭に至っては、歴史に残る名馬と言っていい。テイエムジンソクの頂点奪取も時間の問題。次走、フェブラリーステークスは初の1700m未満戦となるが、ゴールドドリームにリベンジを果たす可能性は十分だ。

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01/18/2018

高齢馬の初タイトル

馬主の懐事情の悪化や、育成技術の向上によって、サラブレッドの競走馬寿命は明らかに伸び(伸ばされ)ている。高齢になってから芝で重賞初制覇を果たす馬が増えているのはそのせいだろう。
この手の馬は、年齢相応の「苦節○戦」というタイプばかりじゃない。2000年以降、6歳以上でJRA芝重賞初制覇を果たした日本馬は71頭を数えるが、そのうち以下の24頭は当該重賞が通算20戦目以下。先週日経新春杯を制したパフォーマプロミスは、わずか12戦目での初戴冠だった。

ロードクロノス   6歳20戦目 01年中京記念
マイネサマンサ   6歳20戦目 06年京都牝馬S
ミトラ       6歳20戦目 14年福島記念
サクラアンプルール 6歳20戦目 17年札幌記念
トランスワープ   7歳19戦目 12年函館記念
ブロードアピール  6歳18戦目 00年シルクロードS
ゴールデンダリア  6歳18戦目 10年新潟大賞典
ジャガーメイル   6歳18戦目 10年天皇賞春
クリスザブレイヴ  7歳18戦目 01年富士S
ウインラディウス  6歳17戦目 04年東京新聞杯
マッキーマックス  6歳17戦目 06年ダイヤモンドS
ジョリーダンス   6歳17戦目 07年阪神牝馬S
ケイティラブ    6歳17戦目 10年アイビスSD
ダイワレイダース  6歳16戦目 05年七夕賞
アクシオン     6歳16戦目 09年鳴尾記念
ニシノブルームーン 6歳16戦目 10年中山牝馬S
ダンスディレクター 6歳16戦目 16年シルクロードS
ミスズシャルダン  6歳15戦目 01年小倉大賞典
サンプレイス    6歳15戦目 01年新潟記念
トーホウシデン   6歳13戦目 03年中山金杯
シンゲン      6歳13戦目 09年新潟大賞典
パフォーマプロミス 6歳12戦目 18年日経新春杯
ヴァンセンヌ    6歳11戦目 15年東京新聞杯
ステイインシアトル 6歳10戦目 17年鳴尾記念

パフォーマプロミスより少ないキャリアで勝った馬は2頭いるが、パフォーマプロミスはそれまでオープン経験すらなかった。2000年以降、ほかにオープン未経験でJRA芝重賞初制覇を果たした6歳以上馬は2頭、重賞未経験で同初制覇を果たした6歳以上馬も2頭しかいない。

オープン未経験
グラスワールド 6歳28戦目 02年ダービー卿CT
ケイティラブ  6歳17戦目 10年アイビスSD

重賞初挑戦
エムオーウイナー 6歳28戦目 07年シルクロードS
トーキングドラム 7歳21戦目 17年阪急杯

もちろん、多くのキャリアを積み重ねて花開いた高齢馬もいる。2000年以降、通算40戦目以上でJRA芝重賞初制覇を果たした6歳以上馬は以下の8頭。

ゲイリーフラッシュ 9歳62戦目 02年シルクロードS
ユキノサンロイヤル 8歳53戦目 05年日経賞
ブルーショットガン 7歳47戦目 06年阪急杯
ネコパンチ     6歳47戦目 12年日経賞
スプリングドリュー 7歳44戦目 07年福島牝馬S
フジサイレンス   6歳42戦目 06年東京新聞杯
エーシンジーライン 7歳40戦目 12年小倉大賞典
ネイティヴハート  8歳40戦目 06年オーシャンS

パフォーマプロミスのように大事に使われて重賞初制覇を果たす高齢馬は今後も少なからず現れるだろうが、ゲイリーフラッシュの「9歳62戦目」はおそらく空前絶後の記録だろう。
今週のアメリカJCCには重賞未勝利の7歳以上馬が4頭出走するが、はたして…。

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01/10/2018

今年も「?」の投票結果

2017年度のJRA賞が発表された。記者投票の結果はJRAのHPで公開している。例によって首をかしげたくなる投票が散見されるので、部門ごとに取り上げてみよう。

まず、そもそも、投票結果を非公開としている記者がいることが信じられない。公開しない理由は、“情実投票”を世間に知られたくないから、あるいは“情実投票”しなかったことを関係者に知られたくないから、だろう。いずれにせよ、プロ意識に欠ける見識と言わざるを得ないし、非公開を認めているJRAもどうかしている。今回は11名。氏名も所属も分かるので、ぜひご確認いただきたい。

<年度代表馬>
キタサンブラックの満票かと思いきや、オジュウチョウサンが3票を獲得。J・G1連勝を含む4戦4勝は確かに素晴らしいが、天皇賞春秋を含む平地G1V4を超えるには、グランドナショナルでも勝たないと無理だろう。

<最優秀2歳牡馬>
タイムフライヤーに13票、ワグネリアンに1票、ルヴァンスレーヴに1票。タイムフライヤーは2敗しているし、ワグネリアンはG1不出走、ルヴァンスレーヴはダート馬。この3頭が、土付かずで朝日杯を圧勝したダノンプレミアムより上と言われても…。

<最優秀3歳牡馬>
重賞タイトルは菊花賞だけで、神戸新聞杯はレイデオロに完敗、香港ヴァーズは9着に惨敗したキセキに1票が投じられた。その理由は…想像もつかない。

<最優秀3歳牝馬>
ソウルスターリング162票、モズカッチャン126票。この部門だけ上位2頭の票が割れた。秋不発の前者は、終わってみればチューリップ賞とオークスの2勝だけ。実績的には、エリザベス女王杯を制した後者が上と言えなくもない。ほかには、NHKマイルカップの覇者アエロリットが4票、秋華賞馬ディアドラが3票を集めたが、桜花賞制覇後、13、9、14、4、7着のレーヌミノルへの1票はさすがに無理がある。

<最優秀4歳以上牝馬>
今回はこの部門が一番難しいと思っていたが、蓋を開ければ、ドバイターフ1勝のみのヴィブロスが194票で圧勝し、ヴィクトリアマイルの覇者アドマイヤリードが49票で2位。42票で3位の該当馬なしがもっと票を集めてもよかったのでは。

<最優秀短距離馬>
毎度、マイラーの扱いが問題となる部門。昨年は強いマイラーがいなかったので、高松宮記念3着、スプリンターズステークス1着のレッドファルクスが大勝した。同馬よりセイウンコウセイのスプリント実績が上とみた1名の頭の中を覗いてみたい。

<最優秀ダートホース>
史上3頭目の「同一年JRAダートG1連勝」を果たしたゴールドドリームが満票ならず。東京大賞典を勝った勢いでコパノリッキーが28票を集めたのは分からんでもないが、フェブラリーステークス8着、チャンピオンズカップ11着のサウンドトゥルーに投じた1名の気は知れない。

<最優秀障害馬>
該当馬なしが1名いたため、オジュウチョウサンが満票を逃した。これはいくらなんでも何かの間違いでしょう(笑)。

この手の記者投票は、ジャンルを問わず、必ず不条理な結果が出てくるもの。それとの正しい接し方は、反感を覚えつつ楽しむこと。その反感と楽しみを増幅するため、投票者にはぜひ、選出根拠の明示を義務づけてもらいたいのだが…。

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01/03/2018

170勝以上3人の衝撃

史上2人目のJRA年間200勝、史上単独最多のJRA・G1年間7勝は惜しくも果たせなかったが、2017年のルメールとデムーロの活躍は際立っていた。これに関東の戸崎を加えた3人が、現在のJRAジョッキーの「ビッグ3」。その“寡占ぶり”はすさまじく、昨年の平地3,332レースのうち541レース、実に16%をこの3人で勝っている。86年以降、JRA年間120勝以上をあげた騎手は以下のとおり(赤字は140勝以上)。

87年 岡部138勝
88年 柴田政132勝
89年 武豊138勝
91年 岡部128勝
92年 武豊130勝 岡部129勝
93年 武豊137勝
94年 武豊134勝 岡部121勝
95年 武豊134勝 横山典130勝 岡部121勝
96年 武豊159勝 岡部136勝 横山典126勝
97年 武豊168勝 岡部124勝
98年 武豊169勝 蛯名136勝
99年 武豊178勝 蛯名129勝
00年 武豊130勝
01年 蛯名133勝 柴田善129勝
02年 武豊133勝 柴田善120勝
03年 武豊204勝
04年 武豊211勝 柴田善145勝 安藤勝127勝 藤田121勝
05年 武豊212勝 横山典134勝
06年 武豊178勝 藤田127勝 岩田126勝 安藤勝120勝
07年 武豊156勝 岩田145勝 安藤勝136勝
08年 武豊143勝 内田123勝
09年 内田146勝 武豊140勝
10年 横山典120勝
11年 福永133勝 岩田131勝
12年 浜中131勝 蛯名123勝
13年 福永131勝 川田120勝
14年 戸崎146勝 岩田136勝 浜中125勝
15年 戸崎130勝 福永121勝
16年 戸崎187勝 ルメール186勝 川田135勝 デムーロ132勝
17年 ルメール199勝 戸崎171勝 デムーロ171勝

一昨年の「180勝以上×2」と「130勝以上×4」も、「上位2人」と「上位4人」のレコードだったが、昨年の「170勝以上×3」はさらに度肝を抜かれる数字。それまでは140勝以上が3人という年すらなかったのだ。そもそも、140勝以上あげた騎手は以下の7人のみ。150勝以上となると、武豊のほかには戸崎、ルメール、デムーロしかいない。

武豊   11回
戸崎   3回
ルメール 2回
柴田善  1回
内田   1回
岩田   1回
デムーロ 1回

ちなみに、年間100勝以上あげたジョッキーが最も多かったのは07年で、実に9人が大台到達。昨年は、近10年では11年の3人に次いで少ない4人だった。
上位数名によるこの寡占傾向、2018年も変わりなしとみるが、はたして…。

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