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06/27/2019

フロックじゃない牝馬V

ファン投票1位のアーモンドアイに替わってと言うべきか、宝塚記念は“紅一点”が制覇。絶好調レーン鞍上のリスグラシューが、3馬身差の圧勝で上半期を締め括った。グレード制導入以降、2000m以上の牡牝混合JRA・G1を勝った日本調教牝馬は、同馬が11頭目となる。

ジェンティルドンナ 12年ジャパンC(3人気) 13年ジャパンC(1人気) 14年有馬記念 (4人気)
ウオッカ      07年ダービー (3人気) 08年天皇賞秋 (1人気) 09年ジャパンC(1人気)
ブエナビスタ    10年天皇賞秋 (1人気) 11年ジャパンC(2人気)
エアグルーヴ    97年天皇賞秋 (2人気)
スイープトウショウ 05年宝塚記念 (11人気)
ヘヴンリーロマンス 05年天皇賞秋 (14人気)
ダイワスカーレット 08年有馬記念 (1人気)
ショウナンパンドラ 15年ジャパンC(4人気)
マリアライト    16年宝塚記念 (8人気)
アーモンドアイ   18年ジャパンC(1人気)
リスグラシュー   19年宝塚記念 (3人気)

上記16レースのうち11レースは、東京競馬場で行われるダービー、天皇賞秋、ジャパンカップ。いずれも格高レースだが、軽い芝コースが牝馬に向いていることは間違いない。
対して、開催末期の阪神、中山で行なわれるグランプリは、牝馬にはかなりタフな条件。フロックで勝てるほど甘くない。有馬記念を1番人気で制したジェンティルドンナとダイワスカーレットだけでなく、宝塚記念を人気薄で制したスイープトウショウとマリアライトも、ほかにG1を勝っている。上記11頭のうち、当該レースが唯一のG1タイトルなのは、天皇賞秋を14番人気で制したヘヴンリーロマンスだけである。

ジェンティルドンナ 12年桜花賞  12年オークス 12年秋華賞  14年ドバイSC
ウオッカ      06年阪神JF 08年安田記念 09年Vマイル 09年安田記念
ブエナビスタ    08年阪神JF 09年桜花賞  09年オークス 10年Vマイル
エアグルーヴ    96年オークス
スイープトウショウ 04年秋華賞  05年エリ女杯
ヘヴンリーロマンス
ダイワスカーレット 07年桜花賞  07年秋華賞  07年エリ女杯
ショウナンパンドラ 14年秋華賞
マリアライト    15年エリ女杯
アーモンドアイ   18年桜花賞  18年オークス 18年秋華賞  19年ドバイT
リスグラシュー   18年エリ女杯

次に有力牝馬が出走する「2000m以上牡牝混合JRA・G1」は天皇賞秋。コックスプレートとの兼ね合いで、アーモンドアイかリスグラシューが参戦するだろう。いずれが勝っても、ジェンティルドンナとウオッカに次ぎ、ブエナビスタに並ぶ“V2”となるが、はたして…。

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06/19/2019

希少な2勝と連勝

2強ムードのユニコーンステークスを制したのは、これが初のダート戦だった3番人気のワイドファラオ。2番人気デュープロセスの追い上げをアタマ差しのいで逃げ切った。ダート未経験馬の優勝はレース史上初である。
快挙はもうひとつ。新馬からNHKマイルカップまで一貫して芝のマイル戦を使われてきた同馬は、2走前にニュージーランドトロフィーを制覇。86年以降、芝とダートでJRAマイル重賞を勝った馬はメイショウボーラーを最後に絶えて久しく、実に14年ぶりの誕生となった。

タイキシャトル   97年ユニコーンS   97年&98年マイルCS 98年安田記念
エルコンドルパサー 98年共同通信杯    98年NHKマイルC
アグネスデジタル  00年マイルCS    02年フェブラリーS  03年安田記念
クロフネ      01年NHKマイルC  01年武蔵野S
アドマイヤドン   01年朝日杯FS    04年フェブラリーS
サイレントディール 03年シンザン記念   03年武蔵野S
メイショウボーラー 03年デイリー杯2歳S 05年フェブラリーS
ワイドファラオ   19年NZトロフィー  19年ユニコーンS

3歳春の時点で“W制覇”を果たしたのは、エルコンドルパサーとワイドファラオだけ。デビュー2戦をダートで連続圧勝した前者は、共同通信杯が降雪により芝で施行できなかったため、ダート1600mで重賞初制覇。クロフネのようにダート転向のチャンスがあったら、それはそれで、とてつもない実績を残していたに違いない。ワイドファラオの秋は、芝か、ダートか、それとも二刀流か…。

ユニコーンステークスと同じ日、阪神で行なわれた古馬の芝マイルオープン、米子ステークスを勝ったオールフォーラヴも、なかなか興味深い実績を残した。同馬は前走、8番人気という低評価で1600万条件を勝ったのだが、フロックとは思われず、オープン昇級初戦で1番人気に支持され、連勝してのけた。こんな馬はなかなかいない。86年以降、条件戦を6番人気以下、続く平地オープンを1番人気で勝った馬は以下のとおり。

レオプラザ     1500万6番人気 → 谷川岳S  
ブリザード     1500万6番人気 → ガーネットS
トウショウフリート 1500万6番人気 → パラダイスS
ファンドリショウリ  900万6番人気 → 中日新聞杯
タマモルビーキング 1600万6番人気 → トパーズS
ローレルベローチェ 1600万6番人気 → 淀短距離S
セレスハント    1600万7番人気 → ペルセウスS
オールフォーラヴ  1600万8番人気 → 米子S
ナチュラルナイン  1000万10番人気 → 札幌日経OP
ライオンボス    1000万15番人気 → 韋駄天S

条件戦をオールフォーラヴよりも低人気で勝った馬は2頭いるが、ナチュラルナインの前走は、昇級初戦で初の芝長距離戦だったから人気薄。それを大楽勝して、同コース、斤量2キロ減だったから、今走は1番人気。ライオンボスの前走は、3走前と2走前を連続大敗した上に、初の直線競馬だったから人気薄。それを大楽勝して、同じコース、引き続き53キロだったから、今走は1番人気。どちらも人気薄と1番人気にははっきりした理由があった。
それにひきかえオールフォーラヴは、前走がタイム差なしの辛勝で、斤量1キロ増。条件が特に好転したわけでもない。ファンの慧眼に脱帽である。

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06/13/2019

「全弟」久々の重賞制覇

関東中央場所で行なわれる上半期最後の芝重賞、エプソムカップを制したのは、ダービー馬レイデオロの全弟、レイエンダ。これは、単なる「良血馬の重賞初勝利」ではなく、歴史的にも重要な1勝となった。
グレード制導入以降、下がJRA重賞を勝ったダービー馬は以下の8頭。「レイデオロ&レイエンダ」は、実に「アグネスフライト&アグネスタキオン」以来、なんと21世紀初の例となったのである。

88年サクラチヨノオーサクラホクトオー(88年朝日杯3歳S・89年セントライト記念・90年AJC杯)

91年トウカイテイオートウカイオーザ(01年アルゼンチン共和国杯)

93年ウイニングチケットロイヤルタッチ(96年きさらぎ賞)

94年ナリタブライアンビワタケヒデ(98年ラジオたんぱ賞)

96年フサイチコンコルドボーンキング(01年京成杯)・アンライバルド(09年スプリングS・皐月賞)

99年アドマイヤベガアドマイヤボス(00年セントライト記念)・アドマイヤドン(01年朝日杯FS・03年エルムS・04年フェブラリーS)

00年アグネスフライトアグネスタキオン(00年ラジオたんぱ杯・01年弥生賞・皐月賞)

17年レイデオロレイエンダ(19年エプソムC)

G1を勝ったのは、サクラホクトオー、アンライバルド、アドマイヤドン、アグネスタキオンの4頭。クラシックホースは、アンライバルドとアグネスタキオンのみ。ダービーの長い歴史の中で、兄弟制覇は「33年カブトヤマ&35年ガヴアナー」「57年ヒカルメイジ&59年コマツヒカリ」の2例しかない。
ダービー馬の下は必ず注目を集めるが、実際は重賞を勝つことすら至難の業。久々の快挙を果たしたレイエンダも、トウカイオーザ、ビワタケヒデ、アドマイヤボスと同じくクラシックは出走すらしていない。繁殖牝馬にとって「ダービー馬を出す」ことは、かくも大きな反動を伴う“一大事業”ということだ。

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06/07/2019

2強では決まらない

確かにアーモンドアイもダノンプレミアムも大きな不利を受けたが、前者はそれ以前に出負けをしている。そのおかげで、ロジクライのタックルをほぼ真横から食らうことは避けられた。被害の程度は「アーモンド<ダノン」。天才肌のダノンプレミアムは、このアクシデントで気持が切れてしまったのだろう。ダービーに続くまさかの波乱決着に、競馬の難しさ(面白さ?)をあらためて思い知った次第である。

しかし、その後よくよく調べてみると、ビッグレースでの「2強崩壊」は珍しくもなんともないことが分かった。86年以降のJRA平地G1で、今回の安田記念のように「2番人気が単勝3.5倍以下、かつ、3番人気が単勝10倍以上」だったのは以下の21レース。このうち順当に2強の一騎討ちで決まったのは、わずか5レースしかない。

89年有馬記念 3.1倍スーパークリーク2着→1.8倍オグリキャップ5着

91年阪神3歳牝馬S 1.9倍ニシノフラワー1着→2.8倍シンコウラブリイ3着

92年天皇賞春 2.2倍メジロマックイーン1着→1.5倍トウカイテイオー5着

92年オークス 3.2倍キョウワホウセキ3着→3.0倍ニシノフラワー7着

93年宝塚記念 1.5倍メジロマックイーン1着→2.7倍メジロパーマー10着

93年菊花賞 2.4倍ビワハヤヒデ1着→2.8倍ウイニングチケット3着

94年マイルCS 1.7倍ノースフライト1着→3.3倍サクラバクシンオー2着

96年天皇賞春 1.7倍ナリタブライアン2着→2.8倍マヤノトップガン5着

98年天皇賞春 2.3倍メジロブライト1着→2.0倍シルクジャスティス4着

99年宝塚記念 2.8倍グラスワンダー1着→1.5倍スペシャルウィーク2着

00年菊花賞 2.8倍エアシャカール1着→1.9倍アグネスフライト5着

01年宝塚記念 3.4倍メイショウドトウ1着→1.5倍テイエムオペラオー2着

03年秋華賞 3.2倍スティルインラブ1着→2.5倍アドマイヤグルーヴ2着

05年宝塚記念 3.0倍ゼンノロブロイ3着→1.9倍タップダンスシチー7着

05年秋華賞 2.5倍エアメサイア1着→1.8倍ラインクラフト2着

09年秋華賞 3.2倍レッドディザイア1着→1.8倍ブエナビスタ2→3降着

11年オークス 3.0倍ホエールキャプチャ3着→2.2倍マルセリーナ4着

11年JCダート 2.0倍トランセンド1着→2.8倍エスポワールシチー3着

16年菊花賞 2.3倍サトノダイヤモンド1着→3.2倍ディーマジェスティ4着

18年スプリンターズS 2.8倍ファインニードル1着→3.4倍ナックビーナス7着

19年安田記念 1.7倍アーモドアイ3着→3.2倍ダノンプレミアム16着

宝塚記念は混戦ムード。次の2強G1は「ダービー3強」の動向次第とみるが、はたして…。

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