05/24/2012

驚異の0.8秒差V

2着と5馬身、0.8秒差は、奇しくも父のダービーとまったく同じ。ジェンティルドンナのオークス圧勝は、まさに絶大なインパクトがあった。この着差がいかにすごいものか、いくつかの切り口で示してみよう。

まずはG1。86年以降のJRA平地G1で、勝ち馬が2着馬に0.8秒差以上つけたレースは以下の22レース。2回以上経験している馬は、ニッポーテイオー、ビワハヤヒデ、ナリタブライアンの3頭しかおらず、牝馬はジェンティルドンナが4頭目。牝馬クラシックとなるとマックスビューティ以来25年ぶりの快挙である。

87年 桜花賞     マックスビューティ 1.3秒差
   ダービー    メリーナイス    1.0秒差
   天皇賞秋    ニッポーテイオー  0.8秒差
   マイルCS   ニッポーテイオー  0.8秒差
   阪神3歳S   サッカーボーイ   1.3秒差
88年 菊花賞     スーパークリーク  0.8秒差
89年 天皇賞春    イナリワン     0.8秒差
93年 菊花賞     ビワハヤヒデ    0.9秒差
   阪神3歳牝馬S ヒシアマゾン    0.8秒差
94年 ダービー    ナリタブライアン  0.9秒差
   宝塚記念    ビワハヤヒデ    0.8秒差
   菊花賞     ナリタブライアン  1.1秒差
98年 ダービー    スペシャルウィーク 0.9秒差
   マイルCS   タイキシャトル   0.8秒差
01年 JCダート   クロフネ      1.1秒差
03年 ジャパンC   タップダンスシチー 1.5秒差
   有馬記念    シンボリクリスエス 1.5秒差
04年 天皇賞春    イングランディーレ 1.1秒差
   NHKマイルC キングカメハメハ  0.8秒差
05年 ダービー    ディープインパクト 0.8秒差
09年 ヴィクトリアM ウオッカ      1.2秒差
12年 オークス    ジェンティルドンナ 0.8秒差

ジェンティルドンナの父ディープインパクトは、全12勝中7勝が2着と0.5秒差以上という怪物だったが、その産駒は今のところ「圧勝タイプ」が少ない。相手が弱い新馬、未勝利を除けば、0.5秒差以上つけて勝ったレースはまだ以下の8レースで、重賞はオークスが2レース目。ジェンティルドンナの0.8秒差は、500万以上での最大着差だ。

11/07/02 犬吠埼特別(3歳以上500万下)   ムーンリットレイク 0.5秒差
11/08/28 阿寒湖特別(3歳以上1000万下)  スマートロビン   0.7秒差
11/08/28 3歳以上500万下平場        ミッキーオーラ   0.6秒差
11/11/13 ドンカスターC(3歳以上1000万下)ダコール      0.6秒差
11/11/19 東京スポーツ杯(G3)      ディープブリランテ 0.5秒差
11/11/19 3歳以上1000万下平場       ドナウブルー    0.5秒差
12/02/05 3歳500万下平場          ジョングルール   0.5秒差
12/05/20 オークス(G1)         ジェンティルドンナ 0.8秒差

オークスの0.8秒差Vは、グレード制導入以降の最大着差。次点は、メジロラモーヌ、マックスビューティ、メジロドーベルの0.4秒差。この4頭がすべて牝馬2冠を制しているのは、偶然ではあるまい。つまり、オークス圧勝は、その世代における力量差を厳然と示しているということ。オークスを勝つ馬は3歳最強牝馬とは限らないが、オークスを圧勝する馬は間違いなく世代の頂点に立つ女王なのである。

一方、同コースの日本ダービー。グレード制導入以降、0.5秒差以上つけて勝った馬は以下の8頭。重馬場以上の道悪で勝ったシリウスシンボリ、ロジユニヴァース以外の6頭は、すべてG12勝以上馬。やはり大物揃いだ。

85年 シリウスシンボリ  0.5秒差
87年 メリーナイス    1.0秒差
91年 トウカイテイオー  0.5秒差
92年 ミホノブルボン   0.7秒差
94年 ナリタブライアン  0.9秒差
98年 スペシャルウィーク 0.9秒差 
05年 ディープインパクト 0.8秒差
09年 ロジユニヴァース  0.7秒差

今のところ、現3歳世代の牡馬が良馬場で0.5秒差以上つけて勝ったオープンは、カレンブラックヒルが0.6秒差で勝ったNHKマイルカップしかない。皐月賞、青葉賞、京都新聞杯は0.4秒差、プリンシパルステークスは0.3秒差。本番ははたして…。

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05/18/2012

息子も父も3頭目の快挙

サダムパテックが京王杯スプリングカップを制し、2歳時から3年連続JRA重賞制覇。これはなかなか難しいことで、現役ではアパパネ、ローズキングダムに次いで3頭目の快挙となる。
この勝利で、サダムパテックの父フジキセキも3頭目の記録に到達した。「JRA平地重賞3勝以上産駒」4頭輩出。これはSS2世サイヤーとしては、アグネスタキオン、ステイゴールドに次ぐ快挙である。

アグネスタキオン(7頭)
ダイワスカーレット 6勝
ディープスカイ   4勝
キャプテントゥーレ 4勝
レッドデイヴィス  3勝
レーヴディソール  3勝
リトルアマポーラ  3勝
アドマイヤオーラ  3勝

ステイゴールド(4頭)
ドリームジャーニー 7勝
オルフェーブル   6勝
ナカヤマフェスタ  3勝
サンライズマックス 3勝

フジキセキ(4頭)
ダイタクリーヴァ 5勝
カネヒキリ    4勝
オースミハルカ  3勝
サダムパテック  3勝

ダンスインザダーク(3頭)
トーホウアラン   3勝
ツルマルボーイ   3勝
ダイタクバートラム 3勝

スペシャルウィーク(3頭)
ブエナビスタ   8勝
ナリタクリスタル 3勝
インティライミ  3勝

マンハッタンカフェ(3頭)
フミノイマージン 3勝
ジョーカプチーノ 3勝
ガルボ      3勝

ネオユニヴァース(3頭)
ヴィクトワールピサ 5勝
ロジユニヴァース  4勝
イタリアンレッド  3勝

アドマイヤベガ(3頭)
キストゥヘヴン   4勝
プレミアムボックス 4勝
アドマイヤフジ   3勝

一方、上記8サイヤーが輩出したJRA平地G1ウィナーは以下のとおり。

アグネスタキオン(6頭)
ダイワスカーレット 桜花賞 秋華賞 エリザベス女王杯 有馬記念
ディープスカイ   NHKマイルC ダービー
ロジック      NHKマイルC
レーヴディソール  阪神JF
リトルアマポーラ  エリザベス女王杯
キャプテントゥーレ 皐月賞

フジキセキ(5頭)
カネヒキリ     JCダート2勝 フェブラリーS
ファイングレイン  高松宮記念
ダノンシャンティ  NHKマイルC
コイウタ      ヴィクトリアマイル
エイジアンウインズ ヴィクトリアマイル

ステイゴールド(4頭)
オルフェーブル   皐月賞 ダービー 菊花賞 有馬記念
ドリームジャーニー 朝日杯FS 宝塚記念 有馬記念
ナカヤマフェスタ  宝塚記念
ゴールドシップ   皐月賞

ダンスインザダーク(4頭)
デルタブルース   菊花賞
ツルマルボーイ   安田記念
スリーロールス   菊花賞
ザッツザプレンティ 菊花賞

マンハッタンカフェ(3頭)
ジョーカプチーノ NHKマイルC
レッドディザイア 秋華賞
ヒルノダムール  天皇賞春

ネオユニヴァース(3頭)
ヴィクトワールピサ 皐月賞 有馬記念
ロジユニヴァース  ダービー
アンライバルド   皐月賞

スペシャルウィーク(2頭)
ブエナビスタ 阪神JF 桜花賞 オークス ヴィクトリアマイル 天皇賞秋 JC
シーザリオ  オークス

アドマイヤベガ(2頭)
キストゥヘヴン   桜花賞
ブルーメンブラット マイルCS

JRA平地重賞3勝以上産駒を4頭以上、かつ、JRA平地G1勝ち産駒を4頭以上送り出している、アグネスタキオン、フジキセキ、ステイゴールドの3頭は、やはりSS2世サイヤーの中では格上の存在と言えるだろう。
しかし残念ながらアグネスタキオンは、現2歳世代がラストクロップ。今後はフジキセキとステイゴールドがどこまで記録を伸ばすか、大いに注目だ。サダムパテックが重賞をもう1勝すれば、アグネスタキオンに並ぶ「重賞4勝以上産駒3頭輩出」、ゴールドシップがダービーを勝てば、アグネスタキオンを超える「G12勝以上産駒3頭輩出」となりますが、はたして…。

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05/11/2012

東京芝マイルG1逃げ切りの快挙

98年のエルコンドルパサー以来14年ぶりの「無敗戴冠」「トライアル&本番連勝」を達成したカレンブラックヒル。キングカメハメハの5馬身差に次ぐ3馬身半差での勝ちっぷりも圧倒的で、同世代のこの路線では飛び抜けた存在であることを見せつけた。
さらにもうひとつ、同馬が果たした快挙が「逃げ切り」だ。底力勝負となる東京芝1600mは、日本屈指の差し馬有利コースであるため、逃げ切りは至難の業。現在このコースで行われるG1は、競馬場別最多の3レース(安田記念・ヴィクトリアマイル・NHKマイルカップ)が組まれているが、カレンブラックヒル以前に逃げ切りを成功させた馬は、なんと88年の安田記念を制したニッポーテイオーまでさかのぼる。

ではG3まで範囲を広げるとどうか。86年以降の芝マイル重賞は全部で522レース。その競馬場別内訳は、阪神136レース、東京132レース、京都113レース、中山106レース、新潟35レース。このうち勝ち馬が逃げ切りだったのは(3角順位と4角順位がともに「1」で1着)、それぞれ以下のようになる。パーセンテージは、全レースに占める逃げ切りレースの割合だ。

阪神 21レース 15.4%
京都 18レース 15.9%
中山 11レース 10.4%
東京 7レース  5.3%
新潟 4レース 11.4%

一目瞭然、東京芝マイル重賞での逃げ切りの難しさは際立っている。面白いのは、この難しさが直線の長さや坂とは無関係に思えることだ。京都のマイル重賞はすべて外回りコースだし、東京同様、直線が長くてゴール前に坂がある阪神外回りのマイル重賞は、全31レース中、逃げ切りはなんと6レースに及び、割合は19.4%にもなる。

86年以降、東京の芝マイル重賞を逃げ切った7頭は以下のとおり。

88年安田記念    ニッポーテイオー
93年クイーンS   マザートウショウ
95年クイーンS   エイシンバーリン
96年京成杯     サクラスピードオー
98年東京新聞杯   ビッグサンデー
00年富士S     ダイワカーリアン
12年NHKマイルC カレンブラックヒル

86年以降、芝マイルG1を逃げきった馬も7頭で、これは以下のとおり。

88年安田記念    ニッポーテイオー
88年阪神3歳S   ラッキーゲラン
91年マイルCS   ダイタクヘリオス
95年阪神3歳牝馬S ビワハイジ
99年阪神3歳牝馬S ヤマカツスズラン
07年朝日杯FS   ゴスホークケン
12年NHKマイルC カレンブラックヒル

上記12頭のうち次走も勝ったのは、エイシンバーリン、サクラスピードオー、ビッグサンデー。いずれも東京芝マイルのG3ウィナーだ。より反動が心配される東京芝マイルのG1ウィナー、カレンブラックヒルが、86年以降前例のない「芝マイルG1逃げ切り後のV」を果たすことができるか、要注目だ。

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05/04/2012

現役最強馬まさかの連敗

今年の古馬平地重賞はとにかく1番人気が勝てない。ここまでの成績は「5-6-5-13」で、勝率17.2%、連対率37.9%、複勝率55.2%。3週前にゴルトブリッツが連敗を「20」で止め、翌週土曜もオールザットジャズが勝って今年2度目の連勝をはたしたが、翌日はリアルインパクトがシンガリ負けを喫し、先週はオルフェーヴルが惨敗。本命党にとっては悪夢のような日々が続いている。
この間、複数回1番人気に支持された馬は4頭。そのうちロードカナロア、ルーラーシップ、トゥザグローリーは1勝1敗だが、なんとオルフェーヴルのみ2戦2敗で片目も開いていない。

このオルフェーヴルの2敗は、「単勝1.3倍以下で重賞2敗」という、さらなる不名誉記録でもある。90年以降、JRA平地重賞で単勝1.3倍以下を2回以上経験している馬は、同馬を含め18頭いるが、そのうち2回以上負けているのは、ビワハヤヒデ、グラスワンダー、テイエムオペラオー、オルフェーヴルの4頭。1勝もしていないのは、テイエムオペラオーとオルフェーヴルだけである。

ディープインパクト 10-1-0-0
ナリタブライアン  5-1-0-0
ビワハヤヒデ    4-2-0-0
メジロマックイーン 4-0-0-0
グラスワンダー   3-1-0-1
ファインモーション 3-0-0-1
エアグルーヴ    2-1-0-0
タイキシャトル   2-0-1-0
ヒシアマゾン    2-0-0-0
クロフネ      2-0-0-0
ブエナビスタ    2-0-0-0
タニノギムレット  2-0-0-0
アグネスタキオン  2-0-0-0
ヒシマサル     1-1-0-0
カネヒキリ     1-1-0-0
サイレンススズカ  1-0-0-1
テイエムオペラオー 0-1-0-1
オルフェーヴル   0-1-0-1

参考
シンボリルドルフ  6-0-0-0

上記の馬が負けたレースは以下のとおり。かっこ内は勝ち馬である。大本命の敗退はインパクトが大きいため、ほとんどのレースが昨日のことのように思い出される。

ディープインパクト
05年有馬記念     1.3倍2着(ハーツクライ)

ナリタブライアン
94年京都新聞杯    1.0倍2着(スターマン)

ビワハヤヒデ
92年朝日杯3歳S   1.3倍2着(エルウェーウィン)
93年共同通信杯    1.3倍2着(マイネルリマーク)

グラスワンダー
99年安田記念     1.3倍2着(エアジハード)
00年日経賞      1.3倍6着(レオリュウホウ)

ファインモーション
03年毎日王冠     1.3倍7着(バランスオブゲーム)

エアグルーヴ
98年鳴尾記念     1.3倍2着(サンライズフラッグ)

タイキシャトル
98年スプリンターズS 1.1倍3着(マイネルラヴ)

ヒシマサル
92年京都大賞典    1.3倍2着(オースミロッチ)

カネヒキリ
05年武蔵野S     1.3倍2着(サンライズバッカス)

サイレンススズカ
98年天皇賞秋     1.2倍中止(オフサイドトラップ)

テイエムオペラオー
99年ステイヤーズS  1.1倍2着(ペインテドブラック)
01年産経大阪杯    1.3倍4着(トーホウドリーム)

オルフェーヴル
12年阪神大賞典    1.1倍2着(ギュスターヴクライ)
12年天皇賞春     1.3倍11着(ビートブラック)

オルフェーヴルの今後が白紙だったのはほんの数日。傍目にはスンナリと、凱旋門賞の一次登録と次走宝塚記念が決まった。しかし天皇賞春を惨敗した馬が、ルーラーシップの参戦する宝塚記念でも単勝1.3倍以下に支持されることはまずあるまい。その宝塚記念を快勝し、凱旋門賞でも勝ち負けを演じることができれば、JCあたりで「3度目」はありそうだが、それは至難の業だろう。ともかく、久々に現れた牡馬の超大物だけに、速やかな復権を願うばかりだ。

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04/27/2012

いつのまにか大馬主

「殿下」がついに重賞を勝った。「国際セリ名簿基準委員会のパート1国入り」と引き換えに、JRAが渋々飲んだ「本邦外居住者個人馬主」の登録解禁から3年。ドバイ首長国の首長にして、世界有数のオーナーブリーダーであるムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム、通称シェイク・モハメド、JRA馬主登録名「H.H.シェイク・モハメド」の所有するミッドサマーフェアが、フローラステークスを制したのだ。
モハメド殿下率いる世界最大の競走馬生産牧場集団が、ダーレー・グループ。その日本進出の橋頭堡であるダーレー・ジャパンが着々と実績を積んでいるのは認識していたが、ふと気づけば殿下の個人馬主成績も「大馬主」と言えるものになっていた。目下JRA12勝は、社台の吉田一族や「アドマイヤ」の近藤氏を上回り、「トーセン」の島川氏と並んで12位タイ。クラブを除けば7位タイだ。

38-30-32-244 社台レースホース
30-25-24-243 サンデーレーシング
26-17-20-193 キャロットファーム
21-13-15-200 松本好雄
19-30-23-237 サラブレッドクラブ・ラフィアン
15-20-6-109 栄進堂
14-15-20-161 ビッグレッドファーム
14-10-7- 43 金子真人ホールディングス
13-12-14-128 シルク
13-12-10- 52 里見治
13-5-2- 87 永井啓弐
12-6-10- 92 島川隆哉
12-1-7- 29 H.H.シェイク・モハメド

さらに驚くべきは好走率の高さである。所有頭数29頭はサンデーレーシングの218頭、社台レースホースの201頭のざっと7分の1にすぎず、目下10勝以上あげている馬主の中で勝率はトップ、連対率と複勝率もベスト5に入っている。ちなみに社台レースホースとサンデーレーシングの勝率・連対率・複勝率は、前者が「11.0%・19.8%・29.1%」、後者が「9.3%・17.1%・24.5%」だ。

勝率
24.5% H.H.シェイク・モハメド
23.3% 市川義美
18.9% 金子真人ホールディングス
14.9% 里見治
13.1% ダノックス

連対率
37.2% 市川義美
32.4% 金子真人ホールディングス
28.7% 里見治
26.5% H.H.シェイク・モハメド
23.8% ダノックス

複勝率
41.9% 金子真人ホールディングス
40.8% H.H.シェイク・モハメド
40.2% 里見治
37.2% 市川義美
35.7% ダノックス

重賞は今回が初制覇だったように、これまでビッグレースとは縁がなかったため、賞金順のいわゆるリーディングでは目下23位。しかしこちらも、ダートで3戦3勝のフリートストリートやミッドサマーフェアの活躍次第で一気に浮上するだろう。まずは3週後のオークス。今度は「本邦外居住者個人馬主」初のJRAG1制覇なるか、要注目である。

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04/20/2012

リーディングジョッキーにG1の壁

目下45勝で、2年連続JRAリーディングに向けて快走中の福永祐一。重賞もすでに6勝をあげ、通算133勝の昨年、重賞16勝の05年を上回る自己最高ペースで勝ち星を積み重ねている。
しかしそんなトップジョッキーにも死角はある。なぜだかG1では振るわないことだ。同騎手のG1タイトルは以下のとおり。

99年桜花賞      プリモディーネ
  朝日杯3歳S   エイシンプレストン
02年阪神JF     ピースオブワールド
  朝日杯FS    エイシンチャンプ
04年高松宮記念    サニングデール
  オークス     ダイワエルシエーロ
05年フェブラリーS  メイショウボーラー
  桜花賞      ラインクラフト
  NHKマイルC  ラインクラフト
  オークス     シーザリオ
  朝日杯FS    フサイチリシャール
06年エリザベス女王杯 フサイチパンドラ
07年オークス     ローブデコルテ
10年阪神JF     レーヴディソール
11年阪神JF     ジョワドヴィーヴル

関西トップの109勝をあげた10年も、JRA最多の133勝をあげた11年も、G1は1勝しかできず、06年以降、G1を2勝以上した年はなし。昨年はあわや、88年の柴田政人以来23年ぶりの「G1未勝利でのJRAリーディング」を達成してしまうところだった。
さらに目を引くのは、牝馬に偏重していること。牝馬10勝に対し、牡馬はその半分。5勝はすべて格の低いレースで、牡馬クラシックは未勝利。勝ち星だけでなく、他の数字も「牡馬<牝馬」は歴然としている。

牡馬 5-12-17-168 勝率 2.5% 連対率 8.4% 複勝率16.8%
牝馬 10-5-10- 58 勝率12.0% 連対率18.1% 複勝率30.1%

ここまで牡馬と牝馬で差がある騎手も珍しい。G1で福永騎乗馬を中心視するなら牝馬に限る。高松宮記念のロードカナロアも、皐月賞のワールドエースも、大いに危険な人気馬だったのである。
牡馬の大物と縁がないから仕方ないとも言えるが、牡馬クラシックだけでなく、天皇賞、グランプリ、JCといった「格高G1」を勝っていないのも寂しいところ。もちろん本人も忸怩たる思いがあるだろう。差し当たっては、阪神大賞典に続いて天皇賞春でもオルフェーヴルにひと泡食わせることができるか、ダービーでゴールドシップにリベンジを果たすことができるか、要注目だ。

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04/13/2012

14年ぶりの快挙目指すカレンブラックヒル

カレンブラックヒルがニュージーランドトロフィーを快勝し、NHKマイルカップの1番人気をほぼ確定させた。無敗(地方除く)での同レース制覇は、オグリキャップ、ファビラスラフィン、エルコンドルパサーに次いで4頭目。中山マイルで行われるようになった2000年以降では初。先輩3頭に続く「同年G1制覇」が大いに期待されるところだろう。
しかし、ニュージーランドトロフィーの勝ち馬が強かったのは、同レースあるいはNHKマイルカップが「残念ダービー」だった頃の話。クロフネがダービーへの「行きがけの駄賃」でNHKマイルカップを制した2000年、ちょうどニュージーランドトロフィーの舞台が中山に移った年から、風向きはがらりと変わった。
東京時代(1983~1999年)のニュージーランドトロフィー勝ち馬17頭のうち、その後も重賞(地方除く)を制した馬は以下のとおり。

83年アップセッター  →83年新潟記念

86年ニッポーテイオー →86年函館記念・スワンS
            87年京王杯SC・天皇賞秋マイルCS
            88年安田記念

88年オグリキャップ  →88年高松宮杯・毎日王冠・有馬記念
            89年オールカマー・毎日王冠・マイルCS
            90年安田記念有馬記念

92年シンコウラブリイ →92年ラジオたんぱ賞・クイーンS
            93年毎日王冠・スワンS・マイルCS

93年トーヨーリファール→94年平安S
            95年マーチS

94年ヒシアマゾン   →94年クイーンS・ローズS・エリザベス女王杯
            95年オールカマー・京都大賞典

96年ファビラスラフィン→96年秋華賞

97年シーキングザパール→97年NHKマイルC
            98年シルクロードS・モーリスドギース賞

98年エルコンドルパサー→98年NHKマイルCジャパンC
            99年サンクルー大賞・フォア賞

17頭中9頭がその後も重賞を制しており、7頭がG1馬に上り詰めている。
対して、中山時代(2000~2011年)のニュージーランドトロフィー勝ち馬12頭のうち、その後も重賞(地方除く)を制した馬は以下の3頭のみ。G1を勝ったのはエイシンプレストンだけで、JRAG1は未勝利だ。

00年エイシンプレストン→01年北九州記念・毎日王冠・香港マイル
            02年クイーンエリザベス2世C
            03年クイーンエリザベス2世C

06年マイネルスケルツィ→07年京都金杯

09年サンカルロ    →11年阪急杯・阪神C

カレンブラックヒルが無敗の勢いでジンクスを破り、エルコンドルパサー以来の快挙を果たせるか、要注目である。

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04/06/2012

SS2世きっての万能サイヤー

先週日曜の重賞は、東西ともにマンハッタンカフェ産駒が制した。これで同サイヤーはJRA平地重賞29勝。SS2世サイヤーとしてはスペシャルウィークを抜いて5位に浮上した。
現役時代のマンハッタンカフェは典型的なステイヤー。勝ち上がった1800m戦が生涯経験最短距離で、その後の5勝は、2600m、2600m、3000m、2500m、3200mであげている。そんな長距離砲が、種牡馬になるや一転「万能タイプ」に変貌したのだから分からないものだ。
JRA平地重賞を20勝以上しているSS2世サイヤーの距離別重賞勝利数と、それぞれの距離でのG1タイトルは以下のとおり。

フジキセキ(57勝)
1200m 13勝 高松宮記念
1400m 7勝
1600m 16勝 NHKマイルC ヴィクトリアマイル フェブラリーS
1800m 13勝 JCダート
2000m 7勝
2100m 1勝 JCダート

アグネスタキオン(49勝)
1400m 3勝
1600m 18勝 阪神JF NHKマイルC 桜花賞
1800m 11勝
2000m 7勝 皐月賞 秋華賞
2200m 5勝 エリザベス女王杯
2400m 3勝 ダービー
2500m 2勝 有馬記念

ダンスインザダーク(40勝)
1400m 4勝
1600m 5勝 安田記念
1800m 9勝
2000m 9勝
2200m 2勝
2400m 1勝
3000m 4勝 菊花賞
3400m 3勝
3600m 3勝

ステイゴールド(32勝)
1400m 1勝
1600m 2勝 朝日杯FS
1800m 7勝
1900m 1勝
2000m 11勝 皐月賞
2200m 4勝 宝塚記念
2400m 3勝 ダービー
2500m 2勝 有馬記念
3000m 1勝 菊花賞

マンハッタンカフェ(29勝)
1200m 3勝
1600m 5勝 NHKマイルC
1800m 7勝
2000m 9勝 秋華賞
2200m 3勝
2400m 1勝
3200m 1勝 天皇賞春

スペシャルウィーク(28勝)
1200m 1勝
1400m 1勝
1600m 8勝 阪神JF 桜花賞 ヴィクトリアマイル
1800m 4勝
2000m 8勝 天皇賞秋
2200m 2勝 オークス ジャパンカップ
2400m 4勝

マンハッタンカフェは唯一、スプリントから長距離まで満遍なく勝っており、G1もマイル、中距離、長距離を別馬で制覇。これまでのところ芝においては同馬こそが、父の万能性を最も強く受け継いでいると言えるだろう。

マンハッタンカフェに比べると、他のサイヤーは少なからず死角を抱えている。
フジキセキの2100m勝ちはカネヒキリによる東京競馬場時代のJCダートだから、実質2000mが上限。
アグネスタキオンは最多8種のG1を勝っているが、1200mと3000m以上の重賞は未勝利。
ダンスインザダークは1200mで勝っておらず、G1は菊花賞に偏重。
ステイゴールドも1200mは未勝利だが、G1はタキオンを上回る6つの距離で制覇。ただし32勝中13勝、G18勝中7勝はドリームジャーニー、オルフェーヴルの全兄弟があげているため、母オリエンタルアートが偉大という見方も。
スペシャルウィークは2500m以上で勝っていない。G1は7勝中6勝をブエナビスタ1頭があげ、牡馬は未勝利。

今週は、マイルの桜花賞とニュージーランドトロフィーにフジキセキ産駒が2頭、アグネスタキオン産駒が2頭、1400mの阪神牝馬ステークスにマンハッタンカフェ産駒が3頭、フジキセキ産駒が1頭、スペシャルウィーク産駒が1頭参戦しますが、はたして…。

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03/29/2012

単勝万馬券馬で重賞単独最多V

2月16日の当記事「単勝万馬券馬で7勝目」の結びで、「タニノマティーニによるキーンランドカップ制覇は、今のところ最後の単勝万馬券馬による重賞制覇。89年以降、これだけ間が開いたのは初めてだ。そろそろ大噴火があってもよさそうだが…」と書いたところ、そのわずか2日後、ダイヤモンドステークスを単勝190倍のケイアイドウソジンが制し、さらに先週、日経賞を単勝167.1倍のネコパンチが制覇。やはり「マグマ」は溜まっていたようだ。
ケイアイドウソジンの鞍上吉田豊は、86年以降17人目の「単勝万馬券6勝ジョッキー」に。ネコパンチの鞍上江田照男は、同6人目の「単勝万馬券8勝ジョッキー」となり、大野拓弥の最多9勝にあと1勝と迫った。

86年以降、単勝万馬券馬の重賞勝ちは以下の21回。

89年 エリザベス女王杯 サンドピアリス   20人/20頭 43,060円
91年 有馬記念     ダイユウサク    14人/15頭 13,790円
94年 きさらぎ賞    サムソンビッグ   11人/11頭 17,200円
95年 産経大阪杯    インターマイウェイ 12人/14頭 14,040円
96年 マーチS     アミサイクロン   14人/14頭 10,060円
98年 日経賞      テンジンショウグン 12人/12頭 35,570円
00年 日経賞      レオリュウホウ   9人/10頭 19,390円
   スプリンターズS ダイタクヤマト   16人/16頭 25,750円
01年 小倉2歳S    タムロチェリー   15人/15頭 10,780円
   中山大障害    ユウフヨウホウ   10人/10頭 11,470円
02年 皐月賞      ノーリーズン    15人/18頭 11,590円
03年 フローラS    シンコールビー   14人/18頭 16,540円
   京阪杯      チアズブライトリー 14人/18頭 18,300円
04年 中京記念     メイショウキオウ  16人/16頭 16,190円
06年 オーシャンS   ネイティヴハート  14人/16頭 13,950円
   フェアリーS   アポロティアラ   13人/16頭 10,200円
08年 東海S      ヤマトマリオン   13人/16頭 10,220円
   マーメイドS   トーホウシャイン  12人/12頭 11,630円
   キーンランドC  タニノマティーニ  16人/16頭 16,140円
12年 ダイヤモンドS  ケイアイドウソジン 15人/16頭 19,000円
   日経賞      ネコパンチ     12人/14頭 16,710円

2勝以上したジョッキーは秋山真一と江田照男だけ。ネコパンチで江田は、98年日経賞、00年スプリンターズSに続く単独最多の3勝目をあげた。
江田が2勝している日経賞は、00年も万馬券馬が勝っており、通算3回。ほかに2回以上単勝万馬券馬が勝ったレースはない。
中山競馬場では日経賞のほかにも7回単勝万馬券馬が勝っており、通算10回。2位が京都競馬場の3回だから、中山の10回は突出している。もっとも、重賞以外のレースも含めると、東京89回、京都74回、中山70回、阪神67回で、東京競馬場が最多。万馬券の単勝を当てたいなら、平場は東京、重賞は中山、ということになる。

今週の産経大阪杯は、95年にインターマイウェイが単勝万馬券で制覇。このときは、前年の天皇賞馬ネーハイシーザーが1番人気を裏切った。今年の1番人気もおそらく昨年の天皇賞馬となりそうだが、はたして…。

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03/23/2012

単勝1.1倍の鉄板度

単勝1.1倍のオルフェーヴルがまさかの敗戦を喫した。前代未聞の「負けて強し」というパフォーマンスだったが、負けは負け。これも競馬だ。
これほどの大本命馬が人気を裏切るのは、どれほどの異常事態なのか。1986年以降のJRAのレースで、1番人気の単勝が1.0~1.1倍だったのは計466レース。その成績は「383-43-21-19」で、勝率82.2%、連対率91.4%、複勝率95.9%。これを鉄板と思うか思わないかは人それぞれだが、個人的には勝率は意外に低いと感じる。
466レースのうち7割にあたる325レースは新馬と未勝利。障害とアラブを除く重賞は以下の23レースである。

87年 ローズS     マックスビューティ 1.1倍1着
90年 京都大賞典    スーパークリーク  1.1倍1着
91年 京都大賞典    メジロマックイーン 1.1倍1着
94年 京都新聞杯    ナリタブライアン  1.0倍2着
95年 きさらぎ賞    スキーキャプテン  1.0倍1着
   阪神大賞典    ナリタブライアン  1.0倍1着
97年 京成杯3歳S   グラスワンダー   1.1倍1着
98年 スプリンターズS タイキシャトル   1.1倍3着
99年 ステイヤーズS  テイエムオペラオー 1.1倍2着
01年 日経賞      メイショウドトウ  1.1倍1着
02年 秋華賞      ファインモーション 1.1倍1着
04年 日経賞      ゼンノロブロイ   1.1倍2着
05年 ダービー     ディープインパクト 1.1倍1着
   ユニコーンS   カネヒキリ     1.1倍1着
   神戸新聞杯    ディープインパクト 1.1倍1着
   菊花賞      ディープインパクト 1.0倍1着
06年 阪神大賞典    ディープインパクト 1.1倍1着
   天皇賞春     ディープインパクト 1.1倍1着
   宝塚記念     ディープインパクト 1.1倍1着
07年 フィリーズR   アストンマーチャン 1.1倍1着
09年 チューリップ賞  ブエナビスタ    1.1倍1着
11年 チューリップ賞  レーヴディソール  1.1倍1着
12年 阪神大賞典    オルフェーヴル   1.1倍2着

勝率は78.6%、連対率は92.9%、複勝率は100%。勝率はもの足りないが、連対率と複勝率は優秀で、連を外したのは引退レースのタイキシャトルのみ。オルフェーヴルの2着は、実に8年ぶりの「まさか」だった。
それ以上に驚かされるのが、単勝1.1倍馬が目下4連敗中であるということ。オルフェーヴルの前の3頭は、いずれも昨年の2歳未勝利戦の大本命。86年以降、単勝1.1倍以下馬の連敗は、2連敗が8回、3連敗が1回あるものの、4連敗はこれが初めてだ。次に1.1倍以下馬が現れたときは、本命党も穴党も「もうはまだなり、まだはもうなり」の格言を噛みしめることになるだろう。
ただし単勝1.0倍馬は、08年から「JRAプラス10」のサービスが始まったためか、07年のライフストリーム(3歳未勝利・6馬身差圧勝)を最後に現れていない。ナリタブライアンがスターマンの後塵を拝したときのような衝撃は、もう二度と味わえないのだろうか…。

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